新規事業のアイデアの出し方:8つの切り口と、出した後の絞り込み方
「新規事業のアイデアを出してほしい」と言われても、白紙から考えるのは難しいものです。アイデアは、ひらめきを待つより、決まった切り口から探すほうがずっと出しやすくなります。
ただし、アイデアを出すことはゴールではありません。出したアイデアの多くは、顧客に確かめると課題が小さかったり、すでに十分な解決策があったりします。この記事では、アイデアを出すための切り口と、出した後に絞り込み、検証につなげる方法を整理します。
アイデアを出す前に決めておくこと
アイデア出しを始める前に、次の2点を決めておくと、出てくるアイデアの質が上がります。
- 対象の範囲:どの顧客層・どの業界・どの領域で考えるか。範囲が広すぎると、アイデアが散らばります
- 自社がやる理由:自社の顧客、技術、販路、データなど、生かしたい資産は何か
大企業の新規事業であれば、中期経営計画での位置づけも確認しておきましょう。中期経営計画の中での新規事業の位置づけ方で扱っています。
アイデアを出す8つの切り口
1. 顧客の不満や手間から考える
顧客が日々の業務や生活で面倒だと感じていること、お金や時間をかけているのに満足していないことは、アイデアの宝庫です。自社の営業担当者やカスタマーサポートに寄せられる要望、問い合わせの記録を見直すのも有効です。
2. 自社の資産から考える
自社が持つ顧客基盤、技術、設備、データ、ブランド、販路を、別の顧客や用途に使えないかを考えます。自社がやる理由を説明しやすい切り口です。判断の軸は既存事業の資産から新規事業のテーマを選ぶときの判断軸で詳しく扱っています。
3. 顧客が今使っている代替手段から考える
顧客が表計算ソフト、紙、電話、外注などで何とかしている作業は、専用の解決策がない、あるいは既存の解決策が合っていないサインです。「今どうやっているか」を観察すると、見落としていた課題が見つかります。
4. 他の業界の仕組みを持ち込む
ある業界で当たり前の仕組みが、別の業界ではまだ使われていないことがあります。サブスクリプション、マッチング、シェアリングなどの収益の仕組みを、自社の領域に当てはめて考えてみましょう。収益モデルの種類と選び方が参考になります。
5. 制度や規制の変化から考える
法律や制度の改正、規制の緩和は、新しい需要を生みます。一方で、規制の確認を怠ると事業そのものが成り立たないこともあります。新規事業で確認すべき規制と、グレーゾーン解消制度・規制のサンドボックス制度を参照してください。
6. 技術の変化から考える
生成AIのように、新しい技術によって、これまで費用が合わなかった作業が安くできるようになることがあります。ただし、技術から出発すると「使い道を探す」状態になりやすいため、必ず顧客の課題と組み合わせて考えます。生成AIを使う場合は生成AIを使ったサービス開発で確認することも確認してください。
7. 人口や働き方など社会の変化から考える
人手不足、高齢化、働き方の変化などの長期的な変化は、特定の業務や生活場面の課題を大きくします。公的な統計を使うと、変化の大きさを数字で確かめられます。調べ方は新規事業の市場調査:公的統計と公開情報で調べる方法で紹介しています。
8. 既存のアイデアを変形する
既存の製品やサービスを「対象を変える」「一部を取り除く」「組み合わせる」「順番を入れ替える」といった観点で変形してみる方法です。アレックス・オズボーンのチェックリストをもとにしたSCAMPERという発想法が知られています。
社内でアイデアを集めるとき
一人で考えるより、社内の多くの人からアイデアを集めるほうが、現場の課題に根ざしたアイデアが集まりやすくなります。社内公募やアイデアソンを行う場合は、テーマと評価の基準、提案した人のその後の関わり方を先に決めておきましょう。社内で新規事業のアイデアを集める方法、社内公募・社内起業制度の作り方で詳しく扱っています。
出したアイデアを絞り込む
アイデアが出たら、次の観点で絞り込みます。この段階では正確な数字は必要なく、分かっていることと分かっていないことを分けることが大切です。
| 観点 | 確認する問い |
|---|---|
| 課題の大きさ | その課題に、顧客は困っていてお金や時間をかけているか |
| 対象の明確さ | 誰の課題か、具体的な顧客を思い浮かべられるか |
| 自社がやる理由 | 自社の資産を生かせるか。他社より有利な点はあるか |
| 市場の広がり | 同じ課題を持つ顧客がどのくらいいそうか |
| 確かめやすさ | 少ない費用と時間で、課題の有無を確かめられるか |
「確かめやすさ」を入れておくのがポイントです。有望そうでも確かめるのに大きな費用がかかるアイデアより、早く確かめられるアイデアから検証するほうが、全体として前に進みます。
絞り込んだら、すぐに確かめる
絞り込んだアイデアは、課題仮説として書き出し、対象の顧客に話を聞いて確かめます。アイデア出しの段階で時間をかけすぎるより、早く顧客の反応を得るほうが、アイデアの良し悪しがはっきりします。
- 課題仮説を書く:課題仮説の立て方と検証の順番
- 顧客に聞く:顧客ヒアリングの質問項目と聞き方
- 需要を確かめる:ランディングページで需要を確かめるスモークテストの進め方
インタビューの準備と記録には、顧客インタビュー質問集(無料のExcelテンプレート)が使えます。
アイデアの検証を一緒に進める
アイデアはあるが、どれから確かめるべきか、どう確かめればいいか分からない場合は、30分の無料診断で状況を伺い、優先して確かめる論点を整理します。顧客インタビューやLPテストの設計・実施まで頼みたい場合は、顧客検証 Sprintもご用意しています(提供はOtsumu株式会社)。
まとめ
- アイデアは、対象の範囲と自社がやる理由を決めてから、決まった切り口で探す
- 顧客の不満、自社の資産、代替手段、他業界の仕組み、制度・技術・社会の変化、既存アイデアの変形の8つが切り口になる
- 課題の大きさ、対象の明確さ、自社がやる理由、市場の広がり、確かめやすさで絞り込む
- 絞り込んだら、すぐに顧客に確かめる
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