段階(ティア)料金
機能や利用量の異なる複数のプランを用意し、顧客が自分に合う段階を選んで支払う型です。小さく始めた顧客が成長に合わせて上位プランへ移ることで収益が伸びます。
仕組み
段階料金(ティア料金)は、同じサービスを「ライト」「スタンダード」「プレミアム」のように、機能の範囲や利用量の上限が違う複数のプランで売る型です。ティア(tier)とは「階層・段階」の意味です。顧客は自分の規模や使い方に近いプランを選ぶだけでよく、価格表を見て比べやすいのが特徴です。
プランの分け方には大きく二つあります。一つは機能で分ける方法で、上位プランほど使える機能が増えます。もう一つは利用量で分ける方法で、ユーザー数、保存容量、処理件数などの上限が段階的に上がります。実際には両方を組み合わせることが多くなります。
収益の上がり方
収益の上がり方は「各プランの契約者数 × そのプランの料金」の合計です。この型の肝は、小さなプランで入ってもらい、利用が増えたときに自然に上位プランへ移ってもらう流れをつくることです。顧客の成長がそのまま自社の売上の成長につながります。
また、価格を三つ程度のプランに並べると、真ん中のプランが選ばれやすいといわれます。選ばせたいプランを際立たせる見せ方の設計も、収益に影響します。一方で、上位プランの価値が伝わらないと、顧客は一番安いプランにとどまり、単価が伸びません。逆に段階の境目が不自然だと、上限を少し超えただけで大きく値上がりすると感じられ、解約や不満につながります。
見るべき指標
- プランごとの契約者数と構成比
- プラン間の移行率(上位への移行、下位への移行)
- 顧客1件あたりの平均月額(ARPA)
- プランの上限に近づいている顧客の数
- プラン別の解約率と獲得費用の回収期間
向いている事業・注意点
顧客の規模や使い方に大きな幅があり、同じ価格では高すぎる層と安すぎる層が混在する事業に向いています。ソフトウェアの利用サービスで典型的に使われますが、会員制のサービスや保守サービスでも成り立ちます。
注意点は、プランを増やしすぎると選べなくなり、説明や営業の負担も増えることです。また、安いプランに多くの機能を入れすぎると上位プランの存在意義が薄れます。上限の決め方が顧客の「成果」とずれていると、納得感を失います。
新規事業で使うとき
最初は二〜三段階に絞り、どの機能・上限で顧客が上位プランを選ぶのかを試しながら調整するのが現実的です。プラン別の粗利と必要な人手を計算し、各プランが採算に合うかを確かめます(損益分岐点の計算と使い方)。また、顧客が上位プランへ移ることをどれだけ見込むかで生涯売上が大きく変わるため、ユニットエコノミクス(LTV・CAC)の考え方も合わせて確認してください。価格は一度決めると変えにくいので、小さな顧客群で反応を見てから公開するのが安全です。
この型の事例
「課金・収益の型」の他の型
- サブスクリプション
- フリーミアム
- 従量課金
- レイザー&ブレード(替え刃モデル)
- 保守・消耗品によるリカーリング
- 広告モデル
- ライセンス(知的財産・ブランド)
- 席数(ユーザー数)課金
- ダイナミックプライシング
- 支払額自由(Pay What You Want)
- プリペイド・チャージ型
- 未使用分が収益になる型(ブレイクエイジ)
- 分割払い・後払い(BNPL)
- 定期便(サブスクリプションボックス)
- 最低利用料+超過課金(コミット型)
- 導入後の拡張で伸ばす(アップセル・NRR)
- オークション
- 逆オークション・一括見積もり
- 差別価格(学割・時間帯別など)
- 目玉商品(ロスリーダー)
- ブランドプレミアム価格
- 徹底した低価格・低コスト運営
- アンバンドル(基本は安く、オプション課金)
- アプリ内課金・アイテム課金
- シーズンパス・期間パス
- 寄付・投げ銭に支えられる型
