シーズンパス・期間パス
一定期間、使い放題や優先利用ができる権利を前売りする型です。先に売上が立ち、顧客の来訪頻度を高められますが、使われ方によって採算が変わります。
仕組み
シーズンパス・期間パスは、スキー場、テーマパーク、スポーツ観戦、ジム、ゲームなどで見られる、一定期間の利用権を一括で販売する型です。期間中は何度でも利用できる、あるいは一定の特典が受けられるという内容で、1回ずつ購入するより割安に見えるように設計されます。
顧客にとっては、1回ごとの支払いの手間と迷いがなくなり、通えば通うほど得になります。事業者にとっては、シーズンの前に売上が立つため、資金計画と準備の見通しがつきやすくなります。また、パスを買った顧客は、元を取ろうとして来訪の回数が増える傾向があります。
収益の上がり方
収益は「パスの販売数 × パス価格」に、来訪した人が追加で使う飲食・物販・レンタルなどの売上を加えたものです。パスの料金そのものだけでなく、来訪時の追加消費が収益の大きな部分を占める場合があります。
パスは、顧客が少ない回数しか利用しないと、事業者にとって有利になります。ただし、使われなさすぎると顧客は次の期に買わなくなります。逆に、使われすぎて混雑すると、サービスの質が下がり、他の顧客の満足度を損ないます。そのため、料金の水準、利用の上限、利用できる日や時間の制限を、採算と体験の両方から設計します。次の期への継続購入を促す仕組み(早期購入割引など)も重要です。
見るべき指標
- パスの販売数と、前の期からの継続購入率
- パス保有者1人あたりの来訪回数の分布
- 来訪あたりの追加消費額
- 混雑の度合いと、体験への満足度
- パス価格を1回あたりに換算した金額と、通常料金との差
向いている事業・注意点
シーズンや期間がはっきりしていて、繰り返し通う動機がある事業に向いています。固定費が大きく、1人増えたときの追加費用が小さい事業ほど、パスの収益性が高まります。
注意点は、天候や災害、設備の都合で提供できない期間が生じた場合の扱いです。前払いの返金や代替措置のルールをあらかじめ明確にしておく必要があります。前払いの性質によっては、関連する消費者保護の法分野に注意が必要です。個別の判断は専門家に確認してください。
新規事業で使うとき
新規事業では、小さな範囲で期間限定のパスを試し、実際の来訪回数と追加消費を観察します。パスの価格は、予想される来訪回数での1回あたりの収入が、費用を上回る水準に設定します(損益分岐点の計算と使い方)。パス保有者の次の期の継続率が高いほど、顧客の価値は大きくなるため、ユニットエコノミクス(LTV・CAC)の考え方の考え方で確認すると、早期購入割引の水準を決めやすくなります。
この型の事例
「課金・収益の型」の他の型
- サブスクリプション
- フリーミアム
- 従量課金
- レイザー&ブレード(替え刃モデル)
- 保守・消耗品によるリカーリング
- 広告モデル
- ライセンス(知的財産・ブランド)
- 段階(ティア)料金
- 席数(ユーザー数)課金
- ダイナミックプライシング
- 支払額自由(Pay What You Want)
- プリペイド・チャージ型
- 未使用分が収益になる型(ブレイクエイジ)
- 分割払い・後払い(BNPL)
- 定期便(サブスクリプションボックス)
- 最低利用料+超過課金(コミット型)
- 導入後の拡張で伸ばす(アップセル・NRR)
- オークション
- 逆オークション・一括見積もり
- 差別価格(学割・時間帯別など)
- 目玉商品(ロスリーダー)
- ブランドプレミアム価格
- 徹底した低価格・低コスト運営
- アンバンドル(基本は安く、オプション課金)
- アプリ内課金・アイテム課金
- 寄付・投げ銭に支えられる型
