Vail Resorts, Inc.
Epic Passなどのシーズンパス事業(Mountainセグメント)
- 国
- 米国
- 上場
- ニューヨーク証券取引所 MTN
- 参照資料
- FY2026(2026年7月期)Form 10-K(2026年9月28日提出)
スキーシーズン前にEpic Passなどのパスを前払いで販売し、リフト収入の約70%をパス収入が占める米国スキーリゾート運営企業の事例です。
事業の概要
Vail Resortsは、北米・欧州・オーストラリアでスキーリゾートを運営する企業です。Form 10-K(FY2026、2026年7月期)によると、Mountainセグメントはリフト券(パス商品を含む)のほか、スキースクール、飲食、レンタル・物販などで収益を得ています。
同10-Kは、パス商品(主にシーズンパスとEpic Day Pass)を、シーズン開始前に購入できる商品と説明しています。ユーザーが事前に利用を約束する見返りとして、同社は特典を用意しており、パス保有者にはEpic Mountain Rewardsとして、同社の北米リゾートでの飲食・宿泊・レッスン・レンタルなどの20%割引を提供すると記載されています。
収益の仕組み
同10-Kによると、パス商品は季節の開始前に販売され、受け取った代金は、シーズン前の入金として繰延収益に計上されます。繰延収益のうち短期のものは、2026年7月31日時点で5億6,650万ドル(前年同日は6億210万ドル)です。同社は、最大の繰延収益残高は、北米のパス販売期間(概ね第3四半期から)に生じると説明しています。
また、すべてのパス商品に追加料金なしでEpic Coverageが付いており、特定の個人事情やリゾート閉鎖が発生した場合に払い戻しを受けられると記載されています。払い戻しの見込額は、パス収益の認識額を減らすと説明されています。
公開資料から読み取れること
Form 10-K(FY2026)の数値は次のとおりです。
- 売上高合計:28億3,820万ドル(前期は29億6,435万ドル)
- Mountainの売上高:25億318万ドル。うちリフト収入は14億5,107万ドル(前期比3.5%減)
- リフト収入に占めるパス収入の割合:約70%(FY2025は65%、FY2024は65%)
- パス商品が総来場者に占める割合:約73%(無料入場を除く)
- Mountain Reported EBITDA:7億2,935万ドル(前期比11.2%減)
- 同社帰属の当期純利益:1億4,754万ドル(前期は2億8,000万ドル)
同社は、FY2026の北米シーズンで、西部の記録的な少雪と高温により来場者が減り、リゾートの早期閉鎖もあったと記載しています。また、2026/2027年シーズン向けのパス販売について、2026年9月18日時点で、販売数量は約12%、販売金額は約6%、前年同期より減少したと記載しており、この傾向が続くかは予測できないとしています。
新規事業への示唆
シーズン前に前払いで販売するパスは、天候に左右される来場者数より前に収益の一部を確定させる仕組みとして、同社が説明しています。同時に、払い戻しの仕組み(Epic Coverage)を付けることで、購入のハードルを下げる設計になっています。新規事業で前払い型の会員権や回数券を考える場合は、販売時点の入金と、サービス提供までの期間の返金・解約条件、会員向け特典の設計を併せて検討する必要があります。一方で、少雪の年には、パス保有者の利用減だけでなく翌年の販売にも影響が及びうることも、同社の開示から読み取れます。
参考資料
この事例は各社の公開資料をもとに整理したもので、記載は参照資料の時点の内容です。最新の情報は各社の公式発表をご確認ください。
