新規事業コンサルで失敗する理由と、依頼前に決めておくこと
新規事業のコンサルティングを頼んだものの、「分厚い報告書は残ったが、何も決まらなかった」「終わった後、社内で次に何をすればいいか分からない」という声は少なくありません。
こうした失敗の多くは、支援会社の能力だけでなく、依頼の仕方と進め方に原因があります。この記事では、よくある失敗のパターンと、依頼前に決めておくこと、進行中に確認することを整理します。
よくある失敗のパターン
1. 何を決めるための支援かが決まっていない
「新規事業のアイデアを出してほしい」「市場を調べてほしい」という依頼は、終わりの基準がありません。調べるほど論点は広がり、報告書は厚くなりますが、次の判断にはつながりにくくなります。
依頼の目的は「何を調べるか」ではなく「何を決めるか」で書くのがポイントです。例えば「来期のPoC予算を申請するかどうかを、3か月後の経営会議で判断したい」のように、判断の内容と期限を決めておくと、必要な作業が絞れます。
2. 資料づくりが目的になる
経営会議や稟議のために資料が必要な場面は多くあります。しかし、資料の見栄えを整えることに時間を使いすぎると、肝心の顧客の反応や数字の根拠が薄いままになります。資料は、顧客や市場で確かめた事実をまとめるものであって、事実の代わりにはなりません。
稟議で経営陣がどこを見るかは新規事業の稟議で経営陣が見る点と資料の構成で整理しています。
3. 丸投げして、社内に何も残らない
新規事業の判断をするのは自社です。支援会社が顧客インタビューや分析をすべて担い、社内の担当者が関わらなかった場合、結果を社内で説明できず、支援が終わった後に自分たちで次の検証を回すこともできません。
外部の力を借りるときも、社内の担当者がインタビューに同席する、判断の会議に参加するなど、一緒に手を動かす形にしておくことが大切です。
4. 途中で止める・変える判断の場がない
数か月の契約を結び、最後に報告を受けるだけの進め方では、途中で前提が崩れても軌道修正ができません。新規事業は、途中で「この顧客ではなかった」「この課題は小さかった」と分かることが珍しくありません。
数週間ごとに結果を確認し、進む・変える・止めるを判断する場を最初から組み込んでおくと、無駄な作業を減らせます。判断の仕組みは新規事業のステージゲートの設計が参考になります。
5. 範囲と費用の前提が揃っていない
「顧客検証」を頼んだつもりが、インタビュー対象者の募集や謝礼は別料金だった、というように、依頼した側と受けた側で範囲の認識がずれることがあります。見積もりの段階で、含まれるもの・含まれないものを書面で確認しておきましょう。見積もりの読み方は新規事業コンサルの費用と料金体系で扱っています。
6. 一般論の提案で終わる
フレームワークに沿って整理された提案は分かりやすい一方で、自社の資産や制約を踏まえていないと、実行に移せません。自社が持つ顧客、技術、販路、人材などをどう生かすかまで踏み込んでいるかを確認しましょう。既存事業の資産の生かし方は既存事業の資産から新規事業のテーマを選ぶときの判断軸で整理しています。
依頼前に決めておくこと
依頼の前に、次の項目を社内で書き出しておくと、上のような失敗の多くを防げます。
| 項目 | 書き方の例 |
|---|---|
| 決めたいこと | PoCに進むかどうか。進むなら範囲と予算 |
| 判断する人と日程 | ○月の経営会議で、事業本部長が判断する |
| 判断に必要な材料 | 顧客の課題の大きさ、支払ってもよい金額、競合との違い |
| 自社が担うこと | 顧客候補への声かけ、社内資料の提供、インタビューへの同席 |
| 支援会社に頼むこと | 検証の設計、インタビューの実施と分析、判断資料のまとめ |
| 含まれないもの | 開発、広告費、謝礼(別途かどうか確認する) |
| 予算の上限 | ○万円まで。未定なら未定と書く |
進行中に確認すること
- 最初に合意した「決めたいこと」から、作業がずれていないか
- 顧客や市場で確かめた事実と、推測が分けて報告されているか
- 途中の結果を受けて、計画を見直しているか
- 社内の担当者が、結果を自分の言葉で説明できるか
失敗しにくい進め方
失敗を防ぐ一番の方法は、最初から大きく頼まないことです。まず短い期間で論点を整理し、何を確かめれば判断できるかを決めてから、必要な支援だけを頼みます。こうすると、支援会社との相性も小さな範囲で確かめられます。
zigyo.aiでは、30分の無料診断で現在の状況を伺い、次に確かめる論点と進め方を整理しています。そのうえで、必要な場合だけ、範囲を決めて事業計画の見直しや顧客検証などの支援をご提案します(提供はOtsumu株式会社)。契約は必須ではありません。
まとめ
- 失敗の多くは、目的の曖昧さ、資料づくりの目的化、丸投げ、判断の場の欠如、範囲のずれから起こる
- 依頼の目的は「何を調べるか」ではなく「何を決めるか」で書く
- 自社が担うこと・支援会社に頼むこと・含まれないものを先に決める
- 小さく始め、途中で進む・変える・止めるを判断する
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