事業計画 大企業向け

新規事業企画書の書き方:構成・項目と、1枚にまとめるコツ

新規事業の企画書は、アイデアを紹介するための資料ではなく、決裁者が「次の投資をするかどうか」を判断するための資料です。この前提に立つと、何を書き、何を削るべきかがはっきりします。

この記事では、社内提案や稟議に使う新規事業企画書の構成と項目、書く順番、1枚にまとめるときのコツを整理します。投資家向けの事業計画書については投資家に読まれる事業計画書・ピッチ資料の組み立て方で扱っています。

企画書と事業計画書の違い

社内では「企画書」と「事業計画書」という言葉が混ざって使われますが、段階によって求められる内容が違います。

  • 企画書:検討の初期に、このテーマを検討・検証する価値があるかを判断してもらうための資料。検証に必要な予算と期間を求めることが多い
  • 事業計画書:検証が進んだ段階で、本格的に事業化するかを判断してもらうための資料。収支計画や体制がより具体的になる

企画書の段階では、分かっていないことがあって当然です。すべてを埋めようとするより、何が分かっていて、何をいくらで確かめたいのかを明確にすることが大切です。事業計画書の中身は新規事業の事業計画書に書くことで扱っています。

企画書の基本構成と項目

順番 項目 書くこと
1 要約と、求める判断 誰の何を変える事業か。今回は何を承認してほしいか
2 顧客と課題 誰が、どんな場面で、何に困っているか。今どう対処しているか
3 確認できた事実 インタビューの件数や内容など、課題を裏付ける事実
4 解決策と価値 何を提供し、顧客にとって何が良くなるか
5 市場と競合 市場の大きさの見積もりと根拠。競合と代替手段との違い
6 自社がやる理由 自社の資産や強みをどう生かすか
7 収益の仕組み 誰から、何に対して、いくら受け取るか
8 次の検証計画 何を、どの方法で、いつまでに確かめるか
9 必要な予算と体制 検証に必要な金額、人、期間
10 判断基準 何が確認できれば次に進み、何が分かれば止めるか

大切なのは「3. 確認できた事実」と「10. 判断基準」です。決裁者が最も気にするのは、この事業が思い込みではないか、そしてお金を出した後にどう判断するのか、という2点だからです。稟議で経営陣がどこを見るかは新規事業の稟議で経営陣が見る点と資料の構成で詳しく扱っています。

書く順番のコツ

企画書は、上の表の順番で読まれますが、書くときは次の順番で進めると、中身がぶれにくくなります。

  1. 顧客と課題を書く:すべての出発点です。ここが曖昧だと、後の項目がすべて曖昧になります
  2. 確認できた事実を書く:課題を裏付ける事実がなければ、まず顧客に話を聞きに行きます
  3. 判断基準と次の検証計画を書く:何を確かめれば判断できるかを先に決めます
  4. 解決策、市場、収益の仕組みを書く
  5. 最後に要約を書く:全体が書けてから、一番伝えたいことを冒頭にまとめます

1枚にまとめるコツ

経営会議や上司への最初の相談では、企画書を1枚にまとめるよう求められることがあります。1枚にまとめるときは、次の点を意識します。

  • 求める判断を最初に書く:「○○の検証のため、○万円・○か月の予算を承認してほしい」のように、何を決めてほしいかを一番上に置きます
  • 項目を絞る:顧客と課題、確認できた事実、解決策、収益の仕組み、次の検証計画と予算、判断基準の6項目に絞ると、1枚に収まりやすくなります
  • 数字には根拠を添える:市場規模や売上の見込みを書くときは、計算の前提と出典を一言添えます
  • 分からないことは分からないと書く:未確認の点は「次の検証で確かめる」と明記します。隠すより、確かめる計画を示すほうが信頼されます
  • 詳細は別紙に回す:インタビュー記録や収支の計算は、別紙として添付します

1枚にまとめる段階では、リーンキャンバスで事業の仮説を整理しておくと、要点を抜き出しやすくなります。

よくある失敗

  • アイデアの魅力ばかりを書く:顧客の課題と裏付けの事実が薄いと、判断ができません
  • 市場規模を大きく見せる:根拠のない大きな数字は、かえって信頼を下げます。出し方は市場規模(TAM・SAM・SOM)の出し方を参照してください
  • 最初から大きな予算を求める:まず検証に必要な分だけを求め、結果を見て次の予算を申請するほうが承認されやすくなります。新規事業の予算額の決め方で扱っています
  • 判断基準がない:何が分かれば続け、何が分かれば止めるのかがないと、決裁者は判断のしようがありません

無料の企画書テンプレート

zigyo.aiでは、この記事の構成に沿って書ける新規事業企画書テンプレート(Excel)を無料で配布しています。今回の意思決定、顧客と課題、価値・市場・提供方法、収益と検証、判断基準(Go/Pivot/Stop)の順に、各項目の横に記入のヒントと仮の例を入れています。5年間の収支計画のシートは、顧客数と年間単価を入れると売上や営業利益を計算します。

企画書の中身を固めたいとき

企画書の形は整っても、課題の裏付けや判断の根拠が足りないと感じる場合は、新規事業レビュー Sprint(稟議パック)で、市場・競合と顧客仮説、収益モデルと検証の優先順位、PoC計画・社内稟議用の説明資料を1〜2週間で整理します(48万円・税別、提供はOtsumu株式会社)。まずは30分の無料診断で、いまの企画書の論点を一緒に確認することもできます。

まとめ

  • 企画書は、決裁者が次の投資を判断するための資料
  • 要約と求める判断、顧客と課題、確認できた事実、解決策、市場と競合、自社がやる理由、収益の仕組み、次の検証計画、予算と体制、判断基準の順に構成する
  • 書くときは顧客と課題から始め、要約は最後に書く
  • 1枚にまとめるときは、求める判断を最初に置き、項目を絞り、分からないことは分からないと書く

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