Intuitive Surgical, Inc.
ダヴィンチ手術支援ロボットとIonシステム

国
アメリカ
上場
NASDAQ ISRG
参照資料
FY2025(2025年12月期)Form 10-K

手術支援ロボットの販売やリースに加え、手術ごとに使う器具とサービス契約から継続的に収益を得る、医療機器企業の事例です。

事業の概要

Intuitive Surgicalは、ダヴィンチ手術支援システムと、肺の生検に使うIon内腔システムを開発・製造・販売する企業です。Form 10-K(2025年12月期)によると、同社は1999年に最初のダヴィンチを発売し、ロボット支援システム、器具・アクセサリー、教育、サポートサービスを組み合わせたエコシステムを提供しています。2025年末のダヴィンチの設置台数は約11,106台(前年末は約9,902台)、2025年の新規設置は1,721台と記載されています。

収益の仕組み

同10-Kは、収益を大きく3つに分けています。システム(本体)、器具・アクセサリー、サービスです。

  • システム:販売または販売型リースにより、設置時に収益を計上します。ダヴィンチ本体の価格は、機種や地域により0.7百万〜3.1百万ドル(原則として1年分のサービスを含む)とされています。
  • 器具・アクセサリー:使用に伴い消耗・期限切れとなって交換が必要になり、1手術あたり900〜3,700ドルの収益を得ると説明しています。
  • サービス:システムの販売・リース時にサービス契約を結び、年額は9万5,000〜22万5,000ドルです。

システムの提供方法として、販売のほか、固定払いまたは使用量連動のオペレーティングリースがあり、これらのリースでは収益が契約期間にわたって計上されます。同社は、器具・アクセサリー、サービス、オペレーティングリースの収益を「経常収益(recurring revenue)」と定義しています。

公開資料から読み取れること

Form 10-K(2025年12月期)の数値は次のとおりです。

  • 総収益:100億6,470万ドル(前年比21%増)
  • 器具・アクセサリー:60億1,890万ドル、システム:24億7,370万ドル、サービス:15億7,210万ドル
  • 経常収益:84億6,530万ドルで、総収益の84%
  • オペレーティングリース収益:8億7,430万ドル(うち使用量連動の変動リース収益は5億3,100万ドル)
  • ダヴィンチの手術件数:約315万件(前年比約18%増)

器具・アクセサリーだけで総収益の約6割を占めており、本体販売よりも手術件数に連動する収益のほうが大きいことが分かります。同社は、使用量連動のリースでは、利用が想定を下回ると収益や採算に影響が出るリスクがあると記載しています。

新規事業への示唆

本体を提供し、その後の消耗品や保守から継続的に収益を得る型では、設置台数と利用量が収益を左右します。Intuitiveは、高額な本体を販売だけでなくリースや使用量連動の形でも提供し、導入のハードルを下げながら、利用に伴う収益を積み上げています。新規事業でこの型を検討する場合は、本体の価格設定、消耗品や保守が必然的に必要になる設計、そして利用量が想定を下回った場合の収益リスクを、あらかじめ見通す必要があります。

参考資料

この事例は各社の公開資料をもとに整理したもので、記載は参照資料の時点の内容です。最新の情報は各社の公式発表をご確認ください。