Grindr Inc.
ソーシャルネットワーキングアプリ「Grindr」
- 国
- 米国
- 上場
- ニューヨーク証券取引所 GRND
- 参照資料
- FY2025(2025年12月期)Form 10-K(2026年3月2日提出)
アプリは無料で使え、一部の利用者が有料の定期購入や追加機能に課金し、売上の83.3%を直接課金が、16.7%を広告が占める米国企業の事例です。
事業の概要
Grindrは、ゲイ、バイセクシュアルなどの成人向けのソーシャルネットワーキングプラットフォームを運営する企業です。Form 10-K(FY2025、2025年12月期)によると、2025年の月間アクティブユーザー(Average MAUs)は平均1,500万人(前年比5.2%増)、有料ユーザー(Average Paying Users)は平均130万人(同16.9%増)です。
同10-Kは、モバイルアプリは無料でダウンロードでき、基本的なサービスと機能は無料で利用できると説明しています。そのうえで、追加の機能を使いたいユーザー向けに、有料の定期購入(サブスクリプション)と追加機能(アドオン)を用意しています。
収益の仕組み
同10-Kによると、収益は直接収益と間接収益の2つです。直接収益は、ユーザーが定期購入や追加機能に支払う代金で、定期購入は1週間、1か月、3か月、6か月、12か月の期間で提供され、顧客は主にAppleやGoogle Playのアプリストア経由で前払いし、収益は契約期間にわたって計上されます。追加機能は、利用ごと、または単品で購入するもので、利用時に収益が計上されます。間接収益は、広告主が同社のユーザーに広告を出すために支払う代金です。
公開資料から読み取れること
Form 10-K(FY2025)の数値は次のとおりです。
- 売上高:4億3,990万ドル(前期は3億4,464万ドル)
- 直接収益:3億6,630万ドル、間接収益:7,360万ドル(直接収益の比率は83.3%、間接収益は16.7%)
- 平均有料ユーザー比率(Average Paying User Penetration):8.4%(前年は7.6%)
- 有料ユーザー1人あたりの月間直接収益(ARPPU):24.25ドル(前年は22.53ドル)
- ユーザー1人あたりの月間総収益(ARPU):2.45ドル(前年は2.02ドル)
- 当期純利益:9,475万ドル(前期は1億3,100万ドルの純損失)
- 調整後EBITDA:1億9,560万ドル
同社は、事業の成長を左右する要素として、無料ユーザーを有料ユーザーに転換できるかを挙げ、転換できない場合は収益や業績が大きく損なわれうると記載しています。
新規事業への示唆
無料で使えるアプリに利用者が集まり、そのうち一部が有料の機能に課金する構造では、有料化率とARPPUが売上を決めることが、同社の指標から分かります。同社は、定期購入に加えて単品の追加機能と広告も組み合わせて、収益源を分けています。新規事業でフリーミアムを採用する場合は、無料の範囲で十分な利用者数を確保しつつ、有料にする機能をどこに置くか、有料ユーザー比率をどう測るかをあらかじめ決めておく必要があります。また、同社は課金の大半をアプリストア経由で受けており、プラットフォーム事業者の決済経路への依存も考慮が必要です。
参考資料
この事例は各社の公開資料をもとに整理したもので、記載は参照資料の時点の内容です。最新の情報は各社の公式発表をご確認ください。
