GE Aerospace(General Electric Company)
民間航空機エンジンの保守・スペアパーツ(Commercial Engines & Servicesセグメント)

国
アメリカ
上場
ニューヨーク証券取引所 GE
参照資料
FY2025(2025年12月期)Form 10-K

設置済みの航空機エンジンの保守とスペアパーツで売上の約7割を占めると記載し、長期サービス契約を柱とする米国企業の事例です。

事業の概要

GE Aerospaceは、民間・軍用のジェットエンジンを設計・製造し、その保守も手がける企業です。Form 10-K(FY2025、2025年12月期)によると、設置済みエンジンは民間約5万基・軍用約3万基で、この設置基盤が支えるアフターマーケットのサービス事業が売上の約70%を占めると記載されています。

主力のCommercial Engines & Services(CES)セグメントは、全社売上の約73%を占め、そのうちサービスが75%を占めると説明されています。サービスの内容は、エンジンの整備・修理・オーバーホール(MRO)とスペアパーツの販売です。同社は、新製エンジンの商業・財務面の動きは長い年月にわたり、販売後の商用エンジンは数十年にわたりアフターマーケットのサービスを伴って稼働できると述べています。

収益の仕組み

同10-Kによると、サービスは長期サービス契約(LTSA)、スペアパーツ契約、時間・材料契約など複数の形態で提供されます。LTSAは主にCESで結ばれ、契約期間は一般に10〜25年で、顧客のエンジンを契約期間にわたり保守する義務を負います。

LTSAの対価は、一般に資産の利用量(たとえば使用時間当たり)に基づくと記載されています。収益は、発生コストが見積総コストに占める割合に応じて認識され、見積りの重要な要素は顧客が資産をどれだけ使うかだと説明されています。利用量や整備の頻度、部品・人件費の見積りが変わると、累計で調整されます。

公開資料から読み取れること

Form 10-K(FY2025)の数値は次のとおりです。

  • 総売上高:458億5,500万ドル(前年比18%増)
  • 内訳:サービス売上301億6,300万ドル、機器売上121億5,900万ドル、保険売上35億3,300万ドル
  • CESセグメント:売上333億1,400万ドル(サービス250億1,000万ドル、機器83億400万ドル)、セグメント利益88億6,100万ドル、利益率26.6%
  • 残存履行義務(RPO):1,905億6,400万ドル。うちサービスは1,630億2,900万ドル
  • 社内整備(shop visit)の売上成長率:24%

同社は、サービス売上の増加は、社内整備の件数と作業範囲の拡大、スペアパーツの増加が主因と説明しています。一方、CESの利益には、LTSAの見積利益率の悪化(主に関税の影響の見込み)がマイナスに働いたとも記載されています。

新規事業への示唆

この事例は、製品を売った後の保守や部品を、数十年単位の契約として設計できる点を示しています。サービスのRPOが機器のRPOを大きく上回っていることは、販売済みの設置基盤が将来の収益の積み上がりにつながっていることを数字で示しています。

一方で、利用量ベースの長期契約は、見積りが外れると採算が変わります。同社が見積りの変更を累積で調整し、関税の影響も利益に反映していると記載している点は、長期契約の価格設計に見積りの更新の仕組みが欠かせないことを示しています。新規事業で同様の型を検討する場合は、設置台数を増やす段階と、稼働データをためて契約を設計する段階を分けて考える必要があります。

参考資料

この事例は各社の公開資料をもとに整理したもので、記載は参照資料の時点の内容です。最新の情報は各社の公式発表をご確認ください。