Flowserve Corporation
ポンプ・バルブ・シールの設置機器に対するアフターマーケット事業(QRCネットワーク)

国
アメリカ
上場
ニューヨーク証券取引所 FLS
参照資料
FY2025(2025年12月期)Form 10-K

産業用ポンプなどの設置機器の修理・部品・診断を126拠点で提供し、売上の約53%をアフターマーケットが占める米国企業の事例です。

事業の概要

Flowserveは、ポンプ、バルブ、シール、自動化機器などの流体制御機器を製造し、アフターマーケット・サービスも提供する企業です。Form 10-K(FY2025、2025年12月期)は、同社を「製造業者であり、アフターマーケットのサービス提供者」と位置づけ、エネルギー、化学、発電、一般産業の顧客に10,000社以上へ販売していると記載しています。

同10-Kによると、設置済みの自社機器は定期的な保守・修理・交換部品を必要とし、その大きな設置基盤が主要なアフターマーケット収益源です。サービスの提供には、世界48か国・126拠点のQuick Response Center(QRC)が使われ、主要市場では24時間対応を行うと説明されています。

収益の仕組み

同10-Kは、アフターマーケットの内容として、設置・試運転、シール部品、修理、高度診断、改造・更新、現場加工、資産管理サービスなどを挙げています。顧客との特別契約により、回転機器の資産管理と状態監視を行い、顧客の保守コストを下げる取り組みもあると記載されています。

また、同社は、特注性の高い機器では、迅速な対応が可能な地域では顧客が競合ではなく同社に頼る傾向があると述べています。一方で、標準品のアフターマーケットは共通規格により交換が容易で競争が激しいとも説明しています。IoTソリューションのRedRavenにより、設置基盤をデジタル化し、機器の監視や停止の予測に使う方針も記載されています。

公開資料から読み取れること

Form 10-K(FY2025)の数値は次のとおりです。

  • 売上高:47億2,930万ドル(前年比3.8%増)
  • アフターマーケット売上の比率:約53%(前年は約51%)
  • 売上総利益率:33.4%(前年31.5%)
  • 受注残高:29億ドル。うち約42%がアフターマーケットの受注(前年末は37%)
  • 受注高:47億1,300万ドル

同社は、2025年の売上増加がアフターマーケットの顧客売上によって牽引されたと説明しています。また、同社の事業モデルは、新規設備への資本支出と、既存設備の保守支出の両方に影響されると記載しています。

新規事業への示唆

設置済みの機器が増えるほど、修理・部品・診断の需要が積み上がることを、アフターマーケットの比率の上昇が示しています。同社が、標準品では競争が激しい一方、特注品では迅速な対応体制が競争上の強みになると説明している点は、サービス拠点の密度が収益を左右することを示しています。

新規事業で製造業のサービス化を検討する場合は、まず自社製品の設置基盤と、顧客が停止を避けたい重要設備かどうかを確認する必要があります。そのうえで、拠点網や状態監視の仕組みへ先行投資する範囲を決めることになります。

参考資料

この事例は各社の公開資料をもとに整理したもので、記載は参照資料の時点の内容です。最新の情報は各社の公式発表をご確認ください。