Carrier Global Corporation
空調機器の補修部品・保守サービス(アフターマーケット)

国
米国
上場
ニューヨーク証券取引所 CARR
参照資料
FY2025(2025年12月期)Form 10-K

空調・冷凍機器の新規販売に加え、設置後の部品交換や保守・修理を売上の約3割で手掛ける米国企業の事例です。

事業の概要

Carrierは、住宅・ビル向けの空調・暖房機器と、コールドチェーン(冷凍・冷蔵輸送)向けの機器を提供する企業です。Form 10-K(FY2025、2025年12月期)によると、同社は4つの事業セグメント(Climate Solutions のアメリカ、欧州、アジア太平洋・中東・アフリカ、およびトランスポーテーション)で事業を運営しています。トランスポーテーション部門の製品には、トラック・トレーラー・コンテナ向けの冷凍機器が含まれ、サービスとして保守・修理・モニタリングを提供すると記載されています。

収益の仕組み

同10-Kは、2025年の売上のうち、新規機器が72%、部品・サービスが28%を占めたと記載しています。同社は、機器の設計段階から、顧客と製品の全期間をつなぐデジタル対応のソリューションに移行し、アフターマーケット(販売後の市場)の売上を伸ばしたいと説明しています。

アフターマーケットの内容として、交換部品、予防保全や随時の保守・修理、デジタル監視、改修・アップグレードを挙げています。デジタル基盤としては、ビル向けのクラウド基盤「Abound」と、AWSと開発したコールドチェーン向けの「Lynx」を紹介しています。

公開資料から読み取れること

Form 10-K(FY2025)の主な数値は次のとおりです。

  • 売上高:217億4,700万ドル(前年比3%減)
  • 売上総利益:56億2,400万ドル(売上高比25.9%、前年は26.6%)
  • 営業利益:約22億ドル
  • セグメント営業利益率(合計):16.1%
  • 新規機器72%、部品・サービス28%(売上の構成)

同10-Kは、売上減少の主因として、特定の市場での需要減による数量の減少を挙げています。たとえばアメリカ地域では、住宅向けの数量が9%減、軽商業向けが20%減と記載されています。一方、同10-Kは、住宅用の空調需要が天候に左右されると説明しています。

なお、同社の売上全体に占める部品・サービスの収益性は、資料では別建てで開示されていることを確認できませんでした。

新規事業への示唆

設備メーカーが販売後の部品や保守を売上の柱に加えると、新規設備の需要が弱い局面でも、すでに設置された機器が部品・保守の需要を生みます。Carrierは、その入口として、機器をネットワークに接続して使用状況を把握する仕組みを挙げており、故障前の予防保全の提案につなげる狙いがあると読み取れます。

新規事業で同様の型を考える場合は、機器の設計段階から、保守用の部品の供給網、技術者の配置、接続機能をどこまで標準装備にするかを決めておく必要があります。また、同社の部品・サービスが売上の28%であることから、この型で売上の中心が新規機器から入れ替わるわけではないことも分かります。

参考資料

この事例は各社の公開資料をもとに整理したもので、記載は参照資料の時点の内容です。最新の情報は各社の公式発表をご確認ください。