IPOラチェット条項
IPOラチェット条項とは、上場時の公開価格などが、投資時に設定した目標額を下回った場合に、優先株式を普通株式に転換する際の転換価額を調整し、投資家がより多くの普通株式を受け取れるようにする条項のことです。
レイターステージで高い評価額で出資する投資家が、上場時の株価が想定より低くなるリスクに備えるために使われます。経済産業省の「我が国における健全なベンチャー投資に係る契約の主たる留意事項(増補版)」(令和7年)では、日本では上場申請前後に優先株式を転換する実務が定着しているため、米国と同様には活用しにくく、上場申請前後での転換を前提とした疑似的なIPOラチェットが使われた例があると紹介されています。
同増補版では、上場日に転換数が確定するIPOラチェット条項付きの優先株式も上場審査上否定されるものではないとしつつ、転換によって大株主の構成が変わるなどガバナンスに影響する可能性がある場合には、投資者保護の観点から慎重な審査を要する場合があると整理されています。受け入れる場合は、転換による希薄化の大きさを試算し、有価証券届出書でのリスク開示も見据えて設計することが必要です。
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