日本 東証プライム コード 4063 化学

信越化学工業株式会社

Shin-Etsu Chemical Co., Ltd.

塩化ビニル樹脂と半導体シリコンウエハーを主力とする化学メーカー。電子材料と生活環境基盤材料が利益の柱

2026年3月期

売上高
2兆5,739億円
前期比 +0.5%
営業利益
6,352億円
利益率 24.7%
純利益
4,744億円
ROE
10.4%
自己資本比率
78.7%
会社分析 開示資料をもとにAI(Claude)が作成した文章です。数値の出典は本文末尾と下の決算表に記載しています。(2026年9月28日時点の情報)

電子材料、生活環境基盤材料(塩ビ・か性ソーダ)、機能材料(シリコーンなど)が柱。2026年3月期は売上高2兆5,739億円(前期比0.5%増)、営業利益6,352億円(14.4%減)で、塩ビ市況の軟化が響いた。自己株式5,000億円の取得で手元資金を還元しつつ、米国で34億ドルの塩ビ原料投資を決めた。

事業の概要

報告セグメントは4つ。2026年3月期の売上高2兆5,739億円の内訳は次のとおり。

  • 電子材料:1兆157億円(営業利益3,445億円)。半導体シリコンウエハー、フォトレジスト、マスクブランクス、レアアースマグネットなど
  • 生活環境基盤材料:9,813億円(同1,648億円)。塩化ビニル樹脂、か性ソーダなど。米国子会社シンテックが中核
  • 機能材料:4,408億円(同1,009億円)。シリコーン、セルロース誘導体など
  • 加工・商事・技術サービス:1,359億円(同273億円)。半導体ウエハー関連容器、シリコーン成型品など

市場別の売上高はアジア・オセアニア35%(うち中国10%)、米国28%、日本21%、欧州9%、その他7%で、海外が約8割を占める。

業績の分析

2026年3月期は売上高2兆5,739億円(前期比0.5%増)、営業利益6,352億円(14.4%減)、経常利益7,082億円(13.7%減)、親会社株主に帰属する当期純利益4,744億円(11.2%減)。営業利益率は29.0%から24.7%、ROICは18.2%から14.6%に下がった。

減益の主因は生活環境基盤材料で、営業利益は43%減った。会社の説明では、塩化ビニルは北米で年央まで堅調だったがその後市況が軟化し、アジアなどでは価格の低迷が続いた。2月末に始まった中東での戦争による原料・エネルギー価格の上昇を受け、全製品の値上げに着手している。一方、電子材料はAI関連の活況とそれ以外の分野の需要回復を捉え、増収増益(営業利益6%増)となった。

決算期 売上高 経常利益 当期純利益 現金及び現金同等物
2022年3月期 2兆744億円 6,944億円 5,001億円 1兆89億円
2023年3月期 2兆8,088億円 1兆202億円 7,082億円 1兆2,473億円
2024年3月期 2兆4,149億円 7,872億円 5,201億円 5,901億円
2025年3月期 2兆5,612億円 8,205億円 5,340億円 8,827億円
2026年3月期 2兆5,739億円 7,082億円 4,744億円 5,620億円

(有価証券報告書の値。当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益)

塩ビ市況が高騰した2023年3月期が利益のピークで、その後は電子材料の伸びが塩ビの落ち込みを補う形が続く。2027年3月期の予想は4月時点で中東情勢を理由に未定とし、7月に売上高2兆7,000億円(4.9%増)、営業利益7,000億円(10.2%増)、当期純利益5,250億円(10.7%増)を公表した。第1四半期は売上高6,624億円(5.4%増)、営業利益1,737億円(4.2%増)。

手元資金と使い道

2026年3月末の現金及び現金同等物は5,620億円で、前期末から3,206億円減った。ただし貸借対照表の現金及び預金は1兆6,600億円あり、差には現金同等物に含まれない定期預金などがあり、同期は定期預金の純増が1,880億円あった。金融子会社はない。有利子負債は長期借入れ2,300億円の調達で168億円から2,432億円に増えた。自己資本比率は82.6%から78.7%に下がった。

同期の資金の使い道は次のとおり。

  • 自己株式の取得:5,000億円(2025年5月に4,000億円、2026年2月に1,000億円)
  • 配当:2,031億円(年間106円、配当性向41.9%)
  • 設備投資:3,397億円(うち電子材料2,123億円)

会社は株主還元を資本政策の中核と位置づけ、配当性向40%前後を中長期の目安とし、総還元性向も考慮して自己株式を機動的に取得するとしている。2026年4月には2,500億円の取得枠を新たに設け、公開買付けで約527億円を取得、残る約1,973億円の枠は7月にToSTNeT-3によるコミットメント型の方式で取得を終えた。2027年3月期の年間配当は普通配当116円に、9月の創立100周年を記念した20円を加え136円を予定する。設備投資は3,500億円を計画する。

経営計画・成長戦略

中期経営計画は公表していない。決算短信では、目標とする経営指標を「年次ごとの増収、増益」と明記し、市況の影響を受ける製品が多いため外部環境の変化に機敏に対応し、各事業の耐性を高めるとしている。示されている方針は次のとおり。

  • 半導体産業に必要な素材と技術を量・質・品種の三方で提供し、AIの進展を支える先端電子材料の総合メーカーとしての機能を拡充する
  • AIインフラ関連の事業機会を全セグメントで追求する
  • 生活環境基盤材料では規模の経済と多層的な事業展開を追求し、中国からの過剰輸出への対応策を多角的に打つ
  • 珪素化学を使った課題解決を進める

新規事業・新しい取り組み

  • 米国シンテック:2026年3月、ルイジアナ州プラケマインでエチレン年62.5万トン、塩化ビニルモノマー50万トン、か性ソーダ31万トンの設備を新設する34億ドルの投資を発表。2030年末までの完工を予定する。塩ビ原料からの一貫体制を厚くする投資
  • 露光材料:新拠点の伊勢崎工場が操業を開始
  • パワー半導体:自社開発の300mm QST基板上で、ベルギーの研究機関IMECが650V超のGaN破壊電圧を達成(2025年11月)
  • シリコーン:リサイクル可能な熱可塑性シリコーンを開発
  • 医薬関連:北海道大学と連携し、脂質ナノ粒子の生産装置を開発

新規事業担当者の視点では、塩ビ市況の低迷期にあえて上流の原料に大型投資する判断と、ウエハーからレジスト、マスクブランクスまで半導体材料を面で押さえる品ぞろえの組み立て方が参考になる。

分析:強みと課題

強み

  • 半導体材料の幅:ウエハー、フォトレジスト、マスクブランクスを併せ持ち、AI向けの需要増を複数の製品で取り込める
  • 財務の厚み:定期預金を含む現預金は1.6兆円。5,000億円の自己株式取得を行っても自己資本比率は約79%
  • 規律ある開示:中計を置かない代わりに増収増益を目標とし、ROICや総還元性向を決算短信で示している

課題・リスク

  • 塩ビ市況への依存:生活環境基盤材料は売上の約4割を占め、市況の軟化で営業利益が43%減った。中国の過剰輸出が続く前提で事業を進める必要があると会社も認めている
  • 大型投資の回収:シンテックの34億ドル投資は2030年末の完工予定で、完成時の塩ビ需給が収益を左右する
  • 地政学とエネルギー:中東情勢による原料・エネルギー価格の変動で、2027年3月期の予想を当初出せなかった

出典

分析の更新履歴(1件)
  1. 最新の版 2026年9月28日時点の情報

業績の推移

売上高
2022/32022年3月期 2兆744億円2023/32023年3月期 2兆8,088億円2024/32024年3月期 2兆4,149億円2025/32025年3月期 2兆5,612億円2026/32026年3月期 2兆5,739億円2兆5,739億円
営業利益
2022/32023/32024/32025/32025年3月期 7,421億円2026/32026年3月期 6,352億円6,352億円
純利益
2022/32022年3月期 5,001億円2023/32023年3月期 7,082億円2024/32024年3月期 5,201億円2025/32025年3月期 5,340億円2026/32026年3月期 4,744億円4,744億円

数字から読み取れること

  • 売上高は2022年3月期の2兆744億円から2026年3月期の2兆5,739億円へ増加(4期間の年平均成長率 5.5%)。
  • 直近期(2026年3月期)の売上高は前期比 +0.5%。
  • 直近期の営業利益率は 24.7%。
  • 直近期のROEは 10.4%(有価証券報告書の記載値)。
  • 直近期末の自己資本比率は 78.7%。
  • 直近期の営業キャッシュフロー(7,126億円)は純利益の 1.5倍。

下の表の数値から自動で計算しています。

決算期2022年3月期2023年3月期2024年3月期2025年3月期2026年3月期
売上高2兆744億円2兆8,088億円2兆4,149億円2兆5,612億円2兆5,739億円
 前期比—+35.4%-14.0%+6.1%+0.5%
営業利益———7,421億円6,352億円
 営業利益率———29.0%24.7%
経常利益6,944億円1兆202億円7,872億円8,205億円7,082億円
純利益(親会社株主に帰属)5,001億円7,082億円5,201億円5,340億円4,744億円
総資産4兆534億円4兆7,303億円5兆1,479億円5兆6,366億円5兆6,619億円
純資産3兆4,292億円4兆262億円4兆4,240億円4兆8,375億円4兆6,433億円
自己資本比率82.1%81.8%82.7%82.6%78.7%
ROE16.3%19.7%12.8%12.0%10.4%
現金及び現金同等物1兆89億円1兆2,473億円5,901億円8,827億円5,620億円
営業キャッシュフロー5,535億円7,880億円7,551億円8,819億円7,126億円
従業員数24,954人25,717人26,004人27,274人27,342人
書類の提出日————2026/06/19
出典開示資料開示資料開示資料開示資料開示資料

新しい決算の書類が提出されるたびに期を追加し、過去の期も残しています。 有価証券報告書の「主要な経営指標等の推移」から集計しています(営業利益は損益計算書の当期・前期のみ)。自己資本比率とROEは報告書の記載値です。

化学の会社

日本の化学は204社。 信越化学工業株式会社の直近の売上高は4位。 業種の会社をすべて見る

順位会社名売上高営業利益率純利益
1 三菱ケミカルグループ株式会社分析あり 3兆7,039億円 0.8% 118億円
2 富士フイルムホールディングス株式会社 3兆3,569億円 — 2,767億円
3 旭化成株式会社分析あり 3兆745億円 7.5% 1,587億円
4 信越化学工業株式会社 2兆5,739億円 24.7% 4,744億円
5 住友化学株式会社 2兆3,285億円 6.5% 609億円
6 日本ペイントホールディングス株式会社分析あり 1兆7,742億円 14.5% 1,798億円
7 花王株式会社分析あり 1兆6,886億円 9.7% 1,200億円
8 三井化学株式会社 1兆6,687億円 4.4% 343億円
9 日本酸素ホールディングス株式会社 1兆3,596億円 14.6% 1,238億円
10 株式会社レゾナック・ホールディングス分析あり 1兆3,471億円 3.5% 290億円

直近期の売上高で並べています。決算期が会社ごとに異なるため、同じ時期の比較ではありません。

事業の内容

有価証券報告書「事業の内容」より抜粋(有価証券報告書-第149期(2025/04/01-2026/03/31))

3【事業の内容】 当社グループは、当社、子会社134社及び関連会社11社(2026年3月31日現在)により構成され、半導体シリコン、希土類磁石、フォトレジスト、マスクブランクス、合成石英製品等の製造・販売を主体とする「電子材料事業」、塩化ビニル樹脂、か性ソーダ等の製造・販売を主体とする「生活環境基盤材料事業」、シリコーン、セルロース誘導体、金属珪素等の製造・販売を主体とする「機能材料事業」、信越ポリマーグループの事業およびエンジニアリングをはじめとする各種役務提供を行う「加工・商事・技術サービス事業」を営んでおり、当社及び関係会社が製造・販売等を分担し、相互に協力して、事業活動を展開しています。 事業内容と当社及び主な関係会社の当該事業における位置付けは、おおむね次のとおりです。 なお、次表の区分は、「第5 経理の状況 1.(1)連結財務諸表 注記事項」に掲げるセグメントの区分と同一です。 区分主要製品及び商品名主要な会社電子材料事業半導体シリコン、希土類磁石(電子産業用・一般用)、半導体用封止材、LED用パッケージ材料、フォトレジスト、マスクブランクス、合成石英製品国内当社、信越半導体㈱、直江津電子工業㈱、長野電子工業㈱、三益半導体工業㈱、直江津精密加工㈱、信越石英㈱、その他3社 (計10社)海外シンエツハンドウタイアメリカINC.、S.E.H.マレーシアSDN.BHD、台湾信越半導体(股)、シンエツハンド…

経営方針・経営計画

有価証券報告書「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」より抜粋

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりです。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末(2026年3月31日)現在において当社グループが判断したものです。(1)会社の経営の基本方…全文の抜粋を表示
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりです。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末(2026年3月31日)現在において当社グループが判断したものです。(1)会社の経営の基本方針当社の目指すところは、他の追随できない素材技術によって社会と産業のために価値を生み出し、株主の皆さまのご期待にお応えしていくことです。そのために、顧客や産業の課題解決に資する製品を数多く開発しています。同時に、世界最高水準の技術や品質を追求し、生産性の向上に絶え間なく努めながら、世界中の顧客に安定的に製品供給を行っています。その持続のため、顧客の動向や市況の変化に迅速かつ的確に対応することに努めています。飛躍的に成長する半導体産業に必要不可欠な素材と技術を提供し、先端電子材料総合メーカーとしての機能、特にAIの進展を支える機能を拡充していきます。AIインフラに関してはすべての事業セグメントで事業機会を追求します。生活環境基盤材料において規模の経済と多層的な事業展開を追求します。また、珪素化学を駆使した課題解決を推進します。人間社会の持続的な発展とその質の向上を、環境負荷を抑えつつ実現する必要性の高まる今日、効率を極めることが必須です。そのために当社が担い、果たせる役割は大きいと信じています。当社の多くの製品がこうした目的に資するように、そして当社製品が用いられれば用いられるほど産業と人々の暮らしに貢献できるというように取り組み、世界の産業と人々の生活を支えるエッセンシャルサプライヤーとしての役割を果たしていきます。(2)目標とする経営指標、中長期的な会社の経営戦略目標とする経営指標は、年次ごとの増収、増益です。当社の主要製品の中には、市況をはじめとした事業環境の変化の影響を受ける製品があります。それだけに、外部環境の変化に機敏に対応していくことに加え、各事業の耐性をさらに高めます。来期もさらなる事業の成長に取組みます。そのためにも、当社製品がより広くより多く社会と産業に用いられるよう、注力していきます。(3)経営環境及び対処すべき課題顧客の需要に確実に応えていくために供給態勢を常時点検し、拡充の手立てを前広に施します。経済事情の揺れ幅が従前の領域を超えてきていることに加え、中国からの過剰輸出が複数の市場で続くと目され、それに対する対応策を多角的に打っていきます。

掲載内容は開示資料をもとにした情報提供であり、特定の有価証券の売買を勧めるものではありません。数値の正確性には注意していますが、投資などの判断は必ず各社の開示資料をご確認のうえ、ご自身で行ってください。