飯田グループホールディングス株式会社
Iida Group Holdings Co., Ltd.
年間約4万棟を供給する分譲戸建住宅の最大手グループ。戸建依存を下げるため、リフォームと米国事業を育てる
2026年3月期
- 売上高
- 1兆5,088億円 前期比 +3.4%
- 営業利益
- 944億円 利益率 6.3%
- 純利益
- 633億円
- ROE
- 6.3%
- 自己資本比率
- 50.8%
一建設、飯田産業、アーネストワンなど6つの住宅会社を傘下に持ち、売上収益の8割を分譲戸建住宅で得る。2026年3月期は売上収益1兆5,088億円、純利益633億円と増収増益だった。2030年3月期に戸建分譲の売上依存率70%、ROE10%以上を目標に、リフォームや米国の住宅事業を広げる。
事業の概要
2013年11月に分譲戸建住宅を手がける上場企業6社が統合して生まれた共同持株会社。統合報告書によると、グループの分譲戸建住宅の供給は年間約4万棟で、分譲戸建住宅市場のシェアは約30%と首位。2026年3月期のグループ別売上収益は次のとおり。
- 一建設グループ:3,923億円
- 飯田産業グループ:2,939億円
- アーネストワングループ:2,922億円
- タクトホームグループ:2,207億円
- 東栄住宅グループ:2,121億円
- アイディホーム:636億円
事業区分では、戸建分譲事業が1兆2,185億円(引渡し3万6,989件)で全体の8割を占める。このほかマンション分譲952億円、請負工事835億円、その他1,114億円。その他のセグメントには、ロシア極東に森林資源と木材加工工場を持つRFPグループなどの木材製造事業が入る。
業績の分析
2026年3月期(IFRS)は売上収益1兆5,088億円(前期比3.4%増)、営業利益944億円(同17.4%増)、税引前利益899億円(同21.0%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益633億円(同24.9%増)。ROEは6.3%。
決算短信によると、建築コストや地価の上昇で販売価格は高止まりしたが、首都圏を中心に住宅需要が底堅く、需給も比較的整っていた。会社は戸建分譲で適正在庫の維持とエリア戦略の精緻化を続け、需給と在庫を見ながら土地の仕入と販売を機動的に行ったと説明する。グループ別では飯田産業(9.7%増)、タクトホーム(17.7%増)が伸びた一方、一建設(3.7%減)とアイディホーム(20.9%減)は減収だった。
| 決算期 | 売上収益 | 親会社の所有者に帰属する当期利益 | 営業CF | 現金及び現金同等物 |
|---|---|---|---|---|
| 2022年3月期 | 1兆3,869億円 | 1,033億円 | 31億円 | 5,594億円 |
| 2023年3月期 | 1兆4,397億円 | 755億円 | ▲569億円 | 4,398億円 |
| 2024年3月期 | 1兆4,391億円 | 372億円 | ▲164億円 | 4,330億円 |
| 2025年3月期 | 1兆4,596億円 | 506億円 | 922億円 | 4,756億円 |
| 2026年3月期 | 1兆5,088億円 | 633億円 | ▲974億円 | 3,907億円 |
(有価証券報告書の値。▲はマイナス)
純利益は2022年3月期の1,033億円から2024年3月期に372億円まで減り、その後2期続けて増えた。2027年3月期は売上収益1兆6,630億円(10.2%増)、営業利益1,036億円、当期利益655億円を見込む。
手元資金と使い道
2026年3月末の現金及び現金同等物は3,907億円で、1年で849億円減った。営業キャッシュ・フローが974億円のマイナスとなったのは、棚卸資産(販売用の土地・建物)の増加1,389億円が主因。不足分は借入金の増加1,065億円で賄った。期末の社債及び借入金は流動・非流動合わせて約7,572億円で、手元資金の約2倍ある。保険代理店・貸金業を営む子会社はあるが、銀行や保険会社は持たない。自己資本は1兆209億円、自己資本比率50.8%。
戸建分譲は土地の仕入に多額の資金が必要で、営業キャッシュ・フローは在庫の増減で大きく振れる。会社は、バブル崩壊やリーマンショックのような経済危機でも事業を続けるための「安全資金」として、通常の運転資金に加え2,000億円が必要と試算している。決算短信では、その確保が概ね目標水準に達し、災害や地政学リスクでサプライチェーンに影響が出ても事業を続け、早期に攻めに転じられる財務体制を整えたとしている。
株主還元は1株90円以上の累進配当が基本方針。2026年3月期は万博記念配当10円を含む年100円、2027年3月期は92円を予想する。自己株式の取得は事業投資資金の需要を考慮しつつ機動的に判断する方針。
経営計画・成長戦略
名称を付けた中期経営計画は公表しておらず、中長期ビジョンとして2030年3月期をターゲットとする経営目標を掲げる。2025年4月に経営体制を変えた。
- オーガニック成長率(既存事業の直近5期の平均売上成長率):2024年3月期1.4%→4.0%
- 戸建分譲売上依存率:同84.6%→70.0%
- ROE(直近5期平均):同8.1%→10.0%以上
基本戦略は「コア事業の競争力強化」と「事業ポートフォリオの拡大」の2つ。
- コア事業:住宅の品質とコスト競争力を高めるため、グループ内の資材製造会社を生かして木材など資材調達・加工の工程まで遡って効率化する。販売ではグループの販売会社を通じた直販を広げる
- ポートフォリオ拡大:メンテナンス・リフォーム、収益不動産、海外の3事業をストック型・成長事業として伸ばす
新規事業・新しい取り組み
- 米国住宅事業:アーネストワンが2025年4月にArnest One America(資本金5,200万ドル)を設立し、ジョージア州アトランタのPatrick Malloyグループの持株会社PMCO Holdingsを子会社化した。同グループの2024年12月期の売上高は1億1,700万ドルで、55歳以上のシニア層向けコミュニティ開発に力を入れている。会社はこれを足がかりに他地域への進出も視野に入れる。2026年3月期にはHajime AMERICAとその子会社4社も連結に加わった
- メンテナンス・リフォーム:グループが販売した戸建住宅は累計80万棟を超え、うち約40万棟が築10年以下。定期メンテナンスを通じた顧客関係の強化で、これから本格化するリフォーム需要を取り込む
- 収益不動産:賃貸マンションや商業ビルに加え、分譲仕様の戸建賃貸物件の取得を増やす
分析:強みと課題
強み
- 規模によるコスト優位:年間約4万棟の供給量を生かした資材の大量調達と、森林から加工まで持つ木材の自社調達網
- 厚い自己資本:自己資本比率は50%を超え、2,000億円の安全資金を確保したうえで累進配当を続けている
- 顧客基盤:累計80万棟超の販売実績が、リフォームなどストック型事業の母体になる
課題・リスク
- 戸建分譲への依存:売上の8割が戸建分譲で、建築費・地価・金利の変化が販売価格と在庫回転に直結する。純利益は5年で1,033億円から372億円まで振れた
- 資金繰りの変動:在庫の積み増しで営業キャッシュ・フローが赤字になり、借入金が増えた。在庫が滞留すれば手元資金はさらに減る
- 新事業の規模:米国で買収したPatrick Malloyグループの2024年12月期の売上高は1億1,700万ドル(約175億円)で、グループの売上収益の1%強にとどまる。戸建依存率を70%まで下げるには、リフォームや海外事業の大幅な拡大が必要になる
出典
分析の更新履歴(1件)
- 最新の版 2026年9月28日時点の情報
業績の推移
数字から読み取れること
- 売上高は2022年3月期の1兆3,869億円から2026年3月期の1兆5,088億円へ増加(4期間の年平均成長率 2.1%)。
- 直近期(2026年3月期)の売上高は前期比 +3.4%。
- 直近期の営業利益率は 6.3%。
- 直近期のROEは 6.3%(有価証券報告書の記載値)。
- 直近期末の自己資本比率は 50.8%。
- 直近期の営業キャッシュフロー(−974億円)は純利益の -1.5倍。
下の表の数値から自動で計算しています。
| 決算期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 1兆3,869億円 | 1兆4,397億円 | 1兆4,391億円 | 1兆4,596億円 | 1兆5,088億円 |
| 前期比 | — | +3.8% | 0.0% | +1.4% | +3.4% |
| 営業利益 | — | — | — | 804億円 | 944億円 |
| 営業利益率 | — | — | — | 5.5% | 6.3% |
| 純利益(親会社株主に帰属) | 1,033億円 | 755億円 | 372億円 | 506億円 | 633億円 |
| 総資産 | 1兆7,086億円 | 1兆7,656億円 | 1兆8,111億円 | 1兆8,538億円 | 2兆87億円 |
| 自己資本 | 9,325億円 | 9,673億円 | 9,718億円 | 9,814億円 | 1兆209億円 |
| 自己資本比率 | 54.6% | 54.8% | 53.7% | 52.9% | 50.8% |
| ROE | 11.5% | 8.0% | 3.8% | 5.2% | 6.3% |
| 現金及び現金同等物 | 5,594億円 | 4,398億円 | 4,330億円 | 4,756億円 | 3,907億円 |
| 営業キャッシュフロー | 31.1億円 | −569億円 | −164億円 | 922億円 | −974億円 |
| 従業員数 | 12,815人 | 13,036人 | 13,366人 | 13,748人 | 14,217人 |
| 書類の提出日 | — | — | — | — | 2026/06/23 |
| 出典 | 開示資料 | 開示資料 | 開示資料 | 開示資料 | 開示資料 |
新しい決算の書類が提出されるたびに期を追加し、過去の期も残しています。 有価証券報告書の「主要な経営指標等の推移」から集計しています(営業利益は損益計算書の当期・前期のみ)。自己資本比率とROEは報告書の記載値です。
不動産業の会社
日本の不動産業は137社。 飯田グループホールディングス株式会社の直近の売上高は4位。 業種の会社をすべて見る
| 順位 | 会社名 | 売上高 | 営業利益率 | 純利益 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 三井不動産株式会社 | 2兆7,097億円 | 14.7% | 2,786億円 |
| 2 | 大東建託株式会社分析あり | 1兆9,847億円 | 6.8% | 990億円 |
| 3 | 三菱地所株式会社分析あり | 1兆7,461億円 | 18.9% | 2,225億円 |
| 4 | 飯田グループホールディングス株式会社 | 1兆5,088億円 | 6.3% | 633億円 |
| 5 | 株式会社オープンハウスグループ分析あり | 1兆3,364億円 | 10.9% | 1,006億円 |
| 6 | 東急不動産ホールディングス株式会社 | 1兆2,460億円 | 13.4% | 966億円 |
| 7 | 住友不動産株式会社 | 1兆577億円 | 28.3% | 2,125億円 |
| 8 | 野村不動産ホールディングス株式会社 | 9,425億円 | 14.7% | 828億円 |
| 9 | ヒューリック株式会社 | 7,274億円 | 25.7% | 1,143億円 |
| 10 | 東京建物株式会社 | 4,745億円 | 20.2% | 588億円 |
直近期の売上高で並べています。決算期が会社ごとに異なるため、同じ時期の比較ではありません。
事業の内容
有価証券報告書「事業の内容」より抜粋(有価証券報告書-第13期(2025/04/01-2026/03/31))
経営方針・経営計画
有価証券報告書「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」より抜粋
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1)会社の経営の基本方針当社グループは、「より多くの人々が幸せに暮らせる住環境を創造し、豊かな社会作りに貢献する」という経営理念のもと、「誰もがあたり前に家を買え…全文の抜粋を表示
掲載内容は開示資料をもとにした情報提供であり、特定の有価証券の売買を勧めるものではありません。数値の正確性には注意していますが、投資などの判断は必ず各社の開示資料をご確認のうえ、ご自身で行ってください。
