ウェルネット株式会社
マルチペイメントサービス(コンビニ決済などの決済代行・収納代行)

国
日本
上場
東証スタンダード・札証 2428
参照資料
2026年6月期第3四半期決算短信(2026年4月30日)、2026年6月期第1四半期決算説明資料(2025年10月30日)、Shared Research社カバレッジレポート(2026年2月17日)

コンビニ決済を主力に、決済1件あたりの手数料と決済件数に連動して売上を得る、札幌に本店を置く決済代行事業者(マルチペイメントサービス)の事例です。

事業の概要

ウェルネットは、札幌に本店を置き、東証と札証に上場する決済代行事業者です。2026年6月期第1四半期の決算説明資料は、同社が1996年に新規事業開発会社として再スタートし、2000年に航空大手三社への導入を始めたことを記載しています。

同社の中期経営計画資料や決算短信は、マルチペイメントサービス(コンビニ、銀行口座、ペイジー、クレジットカードなどを一つの窓口で提供する決済サービス)、送金サービス、交通事業者向けクラウドサービス「アルタイルトリプルスター」などを重点施策として挙げています。同社が公開しているシェアードリサーチ社のレポート(2026年2月、同社の依頼により作成)は、事業者が同社との契約だけで複数のコンビニチェーンなどを支払窓口として使えると説明しています。

収益の仕組み

同レポートによると、同社の売上高は主に決済1件あたりの手数料に決済回数を乗じた額で、従量課金です。決済データは同社を経由して事業者に通知され、同社は手数料を差し引いた金額を事業者に支払い、収納を行ったコンビニなどにも手数料を支払います。2025年6月期の売上原価の79.8%が収納代行手数料で、支払先は約80%がコンビニ、約20%がクレジットカード会社などと記載されています。

同社の決算説明資料はサービス別の売上高を、ビリング、Eビリング、送金、SaaS(決済+α)、その他に分けています。同レポートは、ビリングが紙の払込票、Eビリングが支払番号などの電子通知で請求・回収を行う点が違いだと説明しています。

公開資料から読み取れること

決算説明資料によると、2025年6月期(第43期)の売上高は109億1,800万円で、内訳はビリング11億2,000万円、Eビリング84億5,400万円、送金5億7,000万円、SaaS(決済+α)4億4,300万円、その他3億3,100万円でした。同レポートは、売上高収納代行手数料率が61.4%、売上総利益率が23.1%だったと記載しており、取扱高に対して利益が薄い構造が読み取れます。同レポートは、収納代行手数料が発生しない送金とSaaSの拡大により、売上総利益率が2022年6月期以降上昇傾向にあるとも説明しています。

2026年6月期第3四半期(2025年7月〜2026年3月)の決算短信では、売上高は76億2,100万円(前年同期比8.3%減)、売上総利益は18億6,700万円(同4.7%減)、営業利益は11億1,700万円(同11.3%減)でした。同社は、前年同期の大型案件の反動等が理由と説明し、通期予想を売上高100億円に下方修正しています。修正の理由として、想定していた給付金等の成約が進まなかったことと、大口取引先の取扱高の減少を挙げています。通期決算(2026年8月公表)は、資料を開けなかったため確認できていません。また、同決算短信は、貸借対照表の収納代行預り金(2026年3月末で112億1,100万円)が、事業者へ所定の期日に送金される資金だと説明しています。

新規事業への示唆

決済代行の収益は件数と金額に連動し、収納機関やカード会社に支払う原価が大きいため、売上が大きくても粗利は薄くなります。この事例では、手数料が発生しない送金サービスやSaaSを伸ばして粗利率を改善する方向が示されています。また、特定の大口取引先の取扱高の増減が業績に影響することも、数字から読み取れます。新規事業で決済手数料を収益源にする場合は、原価として支払う手数料の割合、大口顧客への依存度、集めた代金を預かる期間の資金管理を、最初から収支計画に入れておく必要があります。

参考資料

この事例は各社の公開資料をもとに整理したもので、記載は参照資料の時点の内容です。最新の情報は各社の公式発表をご確認ください。