Virgin Galactic Holdings, Inc.
商業宇宙旅行の搭乗予約(Future Astronaut)

国
米国
上場
ニューヨーク証券取引所 SPCE
参照資料
FY2025(2025年12月期)Form 10-K(2026年3月30日提出)

サービス開始前から宇宙旅行の搭乗予約と手付金を受け付け、約675人分・約1億8,800万ドルの予約残を10-Kに記載する米国企業の事例です。

事業の概要

Virgin Galactic Holdingsは、民間人向けの宇宙旅行(サブオービタル飛行)を提供する企業です。Form 10-K(FY2025、2025年12月期)によると、2023年6月に商業運航を開始し、これまでに有償の搭乗者23人を飛行させています。同社はUnity機の運航を2024年半ばに休止し、次世代機の飛行試験を2026年第3四半期に始め、商業運航の再開を2026年第4四半期に見込むと記載しています。

収益の仕組み

同10-Kによると、搭乗希望者は予約手続きの際に手付金を支払います。受け取った代金は、運送条件が提示されて同意書が交わされ、返金不可になるまで「顧客預り金(customer deposits)」として扱われ、その後に繰延収益となり、飛行が完了した時点で収益として計上される構造です。

価格について、同社は、2021年8月に基本価格を1席45万ドルに引き上げ、2023年に60万ドルに引き上げ、直近では一部の枠で1席75万ドルでの販売を再開したと記載しています。また、予約者には、予約後すぐに宇宙飛行士コミュニティへのアクセスや、施設訪問、無重力飛行などの体験の機会が与えられると説明しています。

公開資料から読み取れること

Form 10-K(FY2025)の数値は次のとおりです。

  • 予約残:約675人の搭乗予定者、将来の宇宙飛行収益として約1億8,800万ドル(2025年12月31日時点)
  • 顧客預り金:7,854万ドル(前期末は8,449万ドル)
  • 売上高:154万ドル(前期は704万ドル)
  • 当期純損失:2億7,891万ドル(前期は3億4,674万ドル)

同社は、予約には多額の手付金を伴うものが多いものの、その手付金の大部分は返金が可能で、一定の条件では違約金なしで予約を取り消せるため、予約残や預り金が将来の収益を示すとは限らないと説明しています。また、米国連邦法上、FAAは返金可能な手付金を対価とはみなしていないと記載されています。

新規事業への示唆

提供開始前に予約と手付金を受け付ける方式は、需要の確認と資金の一部確保に使える一方で、同社の開示から、手付金が返金可能な場合は予約残が必ずしも売上にならないことが分かります。売上は、実際に提供を開始してはじめて計上されるため、開発や運航の遅れが続くと、売上高が小さいまま費用が先行し、純損失が続く構造になります。新規事業で予約販売を設計する場合は、手付金の返金条件、予約残の開示方法、提供時期が遅れた場合の顧客対応を、あらかじめ決めておく必要があります。

参考資料

この事例は各社の公開資料をもとに整理したもので、記載は参照資料の時点の内容です。最新の情報は各社の公式発表をご確認ください。