Tesla, Inc.
車両・エネルギー製品の注文時の予約金(カスタマーデポジット)
- 国
- 米国
- 上場
- NASDAQ TSLA
- 参照資料
- FY2025(2025年12月期)Form 10-K
車両やエネルギー製品の注文・予約時に返金可能な代金を受け取り、引き渡しまで負債として計上している米国の電気自動車メーカーの事例です。
事業の概要
Teslaは、電気自動車と、太陽光発電・蓄電池などのエネルギー製品を設計・製造・販売する企業です。Form 10-K(FY2025、2025年12月期)によると、総収益は948億2,700万ドルで、前年の976億9,000万ドルから3%減少しています。このうち自動車販売は658億2,100万ドル(前年724億8,000万ドル)です。
この事例では、同社の事業全体ではなく、10-Kの会計方針に記載された「注文・予約時に顧客から受け取る代金」の部分だけを取り上げます。予約販売・クラウドファンディング型のうち、作り手として先に代金を受け取る側面にあたります。
収益の仕組み
同10-Kは、カスタマーデポジットを「車両またはエネルギー製品の注文や予約をする時点で顧客が支払う返金可能な現金と、引き渡しや設置の完了までに支払う追加の支払い」を中心とするものと説明しています。メンテナンスプランなど、重大な違約金なしに解約できる前払いも含まれると記載されています。
会計処理について同10-Kは、カスタマーデポジットは返金、没収、または購入代金への充当が行われるまで、連結貸借対照表の未払負債等(Accrued liabilities and other)に含まれると説明しています。返金不能の前払いは繰延収益として計上するとされ、顧客からのこうした支払いに関する繰延収益は重要ではないと記載されています。
公開資料から読み取れること
Form 10-K(FY2025)の数値は次のとおりです。
- 未払負債等の内訳のうちカスタマーデポジット:13億1,100万ドル(前年末9億9,300万ドル)
- 総収益:948億2,700万ドル(前年比3%減)
- 自動車販売:658億2,100万ドル(前年比9%減)
予約金の残高は前年末から増えていますが、10-Kが残高の増減の理由を説明しているかは、確認した範囲では見つかりませんでした。また、予約件数や、予約が引き渡しに至る割合は、確認した範囲では開示されていませんでした。予約金は返金可能なため、収益ではなく負債として扱われている点が特徴です。
新規事業への示唆
予約や注文の時点で返金可能な代金を受け取る仕組みは、引き渡しまでに現金が先に入る一方、返金できる状態で預かる資金であるため、会計上も負債として管理されることが分かります。新規事業で予約販売を行う場合は、受け取った代金を製造費に充てられるか、返金に備えて手元に残すかを、返金条件と合わせて事前に決める必要があります。また、予約残高の増加が実際の販売に結びつくかは別の問題であり、予約数だけでなく引き渡しまでの転換率を自社で追う設計が要ります。
参考資料
この事例は各社の公開資料をもとに整理したもので、記載は参照資料の時点の内容です。最新の情報は各社の公式発表をご確認ください。
