株式会社ラクス
「楽楽精算」「楽楽明細」などの「楽楽クラウド」(クラウド事業)

国
日本
上場
東証プライム 3923
参照資料
株式会社ラクス 2026年3月期 決算説明資料(2026年5月14日)

楽楽精算・楽楽明細など複数のバックオフィス向けクラウドを展開し、クロスセルによる複数導入の拡大を成長戦略に掲げる日本企業の事例です。

事業の概要

ラクスは、経費精算の「楽楽精算」、帳票発行の「楽楽明細」、販売管理の「楽楽販売」、勤怠管理の「楽楽勤怠」など、バックオフィス業務向けのクラウドサービスを展開しています。2026年3月期決算説明資料によると、主に従業員30〜1,000名の企業にテレビCMを中心とした広告宣伝で販売しています。

同資料は、これまで特定領域で最良の製品を提供する「ベストオブブリード戦略」のもとでクロスセルを積極的には推進してこなかったと記載しています。市場が成熟して顧客獲得の難易度が上がる中、複数プロダクトの導入拡大に新たな成長機会を見込むとして、クロスセルを加えた「統合型ベストオブブリード戦略」へ進化させる方針を示しています。

収益の仕組み

同資料では、クラウド事業のストック売上高比率は92.6%と記載されています。クラウド事業の売上高構成比は、楽楽精算40.0%、楽楽明細25.2%、楽楽販売13.1%、メール配信7.9%、楽楽自動応対6.6%、楽楽勤怠3.9%、その他2.4%です。

クロスセルの施策として、同資料は次の点を挙げています。

  • 共通ID基盤「楽楽従業員ポータル」を2026年3月に提供開始し、1つのIDで各サービスにログインでき、サービス間のデータ連携も強化
  • 初回商談の段階から複数商材を提案する専門組織を新設し、親和性の高い商品を同時に販売しやすい組織に2026年4月から改編
  • 「1社あたり導入商材数」「プロダクト横断のトスアップ数」「NRR」を社内KPIとして管理(営業戦略上、数値は非開示)

公開資料から読み取れること

2026年3月期の決算説明資料の数値は次のとおりです。

  • 連結売上高:602億8,600万円(前年比23.3%増)、営業利益:173億4,500万円(営業利益率28.8%)
  • クラウド事業売上高:517億7,000万円(同23.7%増)。ARR(年間経常収益)は2025年12月に500億円を突破
  • 主なサービス別売上高:楽楽精算207億2,300万円、楽楽明細130億6,100万円、楽楽販売71億5,700万円、楽楽勤怠20億3,700万円
  • 粗利益ベースのLTV(1顧客から得られる利益):楽楽精算1,704万円から1,907万円、楽楽明細2,600万円から3,357万円、楽楽販売1,096万円から1,504万円

なお、クロスセルの成果を示す導入商材数などの数値は、資料では確認できませんでした。

新規事業への示唆

ラクスの資料からは、複数の製品を別々に伸ばしてきた企業が、既存顧客へ広げる段階でログインやデータ連携の共通化、販売組織の再編、KPIの設定を同時に進めていることが読み取れます。クロスセルを「後から営業が頑張る」のではなく、製品側と組織側の両方で設計し直す形です。

新規事業では、製品ごとに顧客層が重なるか、導入担当者が同じかを先に確認し、2つ目の製品を同じ窓口で提案できるかを検討する必要があります。

参考資料

この事例は各社の公開資料をもとに整理したもので、記載は参照資料の時点の内容です。最新の情報は各社の公式発表をご確認ください。