株式会社ミルボン
美容室専売のヘアケア用剤・染毛剤と、美容室の顧客向けEC「milbon:iD」
- 国
- 日本
- 上場
- 東証プライム 4919
- 参照資料
- 2025年12月期決算説明資料(2026年2月13日)
販売代理店と美容室を通じて消費者に届ける美容室専売メーカーで、美容室の顧客向けEC「milbon:iD」をBtoBtoC型の商流と説明している事例です。
事業の概要
ミルボンは、美容室向けにヘアケア用剤や染毛剤などを開発・販売するメーカーです。2025年12月期決算説明資料によると、同社は「美容室の増収増益」を戦略の起点とし、1960年の創業以来、美容室向けに事業領域を絞ってきたと説明しています。
同資料のビジネスモデルの図は、商材・サービスの流れを「販売代理店 → 美容室 → 顧客」と示しており、海外の一部地域では美容室への直販も行うと注記しています。製品は消費者に直接販売するのではなく、代理店と美容室という2段階の法人を通じて、最終的に美容室の顧客に届く形です。
収益の仕組み
同資料は、営業員(フィールドパーソン)が美容室の課題の発見や教育支援を行い、製品と美容技術を提供するとしています。収益は、販売代理店や美容室向けの製品の販売額(資料では出荷額ベースの表記が多い)として計上されると読み取れます。
また、同資料は2020年に始めた美容室の顧客向けECプラットフォーム「milbon:iD」を、「BtoBtoC型の商流、売上は美容室に紐づく」と説明しています。同社の図では、顧客がmilbon:iDで注文し、売上は美容室に紐づくとされています。2025年末時点の実績は、登録美容室6,669軒、登録会員104万人、EC売上(出荷額ベース)22.5億円と記載されています。
公開資料から読み取れること
2025年12月期の連結業績は次のとおりです(決算説明資料)。
- 売上高:528億63百万円(前期比3.0%増)、うち国内392億6百万円、海外136億57百万円
- 営業利益:56億52百万円(同17.4%減)、営業利益率10.7%
- 国内の売上構成(出荷額ベース、累計):ヘアケア用剤67.2%、染毛剤28.8%、化粧品1.5%
- ブランド「オージュア」の導入美容室:国内7,842軒(前期末7,278軒)
減益の要因について、同資料は在庫評価減による売上総利益率の低下や販管費の増加を挙げています。また、2025年5月の価格改定の直後には数量減が大きかったと説明しています。米国では、販売体制を美容室への直販から代理店制に切り替えたことをきっかけに急成長したと記載されています。
新規事業への示唆
販売代理店と美容室という複数の法人を介する形では、最終顧客の購買データを自社で持ちにくいという課題があります。ミルボンのmilbon:iDは、顧客がオンラインで購入し、売上が美容室に紐づく設計で、法人パートナーの収益を奪わずに最終顧客との接点を持つ工夫として読み取れます。
また、パートナーである美容室の増収増益を事業の起点に置く考え方は、パートナーにとって扱う動機が生まれるかを重視する、この型の設計の例です。新規事業では、パートナー(代理店・店舗)が自社の商品を売る動機を持てる仕組みと、最終顧客のデータの扱いをあらかじめ設計する必要があります。
参考資料
この事例は各社の公開資料をもとに整理したもので、記載は参照資料の時点の内容です。最新の情報は各社の公式発表をご確認ください。
