Marcus & Millichap, Inc.
商業用不動産の投資売買仲介・ファイナンス仲介

国
米国
上場
ニューヨーク証券取引所 MMI
参照資料
FY2025(2025年12月期)Form 10-K

商業用不動産の売手と買手を引き合わせ、取引が成立したときに手数料を受け取る、独立契約者中心の米国の投資売買仲介会社の事例です。

事業の概要

Marcus & Millichapは、商業用不動産の投資売買仲介、ファイナンス、リサーチ、アドバイザリーを行う企業です。Form 10-K(FY2025、2025年12月期)によると、2025年末時点で1,808人の投資売買・ファイナンス担当者が、米国とカナダの80以上の拠点で活動しています。担当者は主に歩合制の独立契約者(exclusive independent contractors)と記載されています。2025年は売買・ファイナンスなど8,818件の取引を成約し、売買総額は約508億ドルでした。

収益の仕組み

同10-Kによると、不動産仲介手数料は、物件を売りたい所有者や買いたい投資家の仲介をして得る手数料で、エスクロー(決済)の完了時に収益を認識します。ファイナンス手数料は、購入時の融資や借換えを調達したことで得る手数料で、融資の実行時に認識します。

同社は、同社の収益は実質的にこれらの手数料に依存しており、成約した取引の件数や売却した不動産の価値が減ると収益が大きく減る可能性があると、リスクとして記載しています。担当者への歩合は原価に計上され、上位の担当者が年間の基準を満たすと追加の歩合を得られるとも記載されています。

公開資料から読み取れること

Form 10-K(FY2025)の数値は次のとおりです。

  • 総収益:7億5,520万ドル(前年比8.5%増)
  • 不動産仲介手数料:6億3,250万ドル(前年比7.3%増)
  • ファイナンス手数料:1億390万ドル(前年比23.0%増)
  • 純損失:191万ドル(前年は1,236万ドル)
  • 不動産仲介の平均手数料率:1.82%、取引1件あたりの平均手数料:10万4,756ドル
  • 担当者1人あたりの平均取引件数:3.83件(前年は3.38件)

同10-Kは、手数料率が上がった理由を、手数料率が相対的に高い個人投資家向け市場の売上の増加としています。取引規模が大きいほど手数料率が低くなる傾向があるとも説明しています。

新規事業への示唆

成約額に比例する手数料では、取引の規模が小さい市場ほど手数料率が高くなる傾向があると同社の資料から分かります。また、売上は「担当者数×1人あたりの成約件数×平均手数料」で表せるため、同社は担当者の採用と定着を重視しています。新規事業で成功報酬型を検討する場合は、案件の規模帯ごとの手数料率と、担当者1人が処理できる件数を試算しておく必要があります。

参考資料

この事例は各社の公開資料をもとに整理したもので、記載は参照資料の時点の内容です。最新の情報は各社の公式発表をご確認ください。