株式会社JMDC
ヘルスビッグデータ事業(健保・医療機関データの活用)

国
日本
上場
東証プライム 4483
参照資料
2026年3月期通期決算説明資料(2026年5月8日)

健保組合や医療機関などのデータを集め、製薬企業・保険会社・健保・自治体・医療機関向けの分析やコンサルに活用する日本企業の事例です。

事業の概要

JMDCは、ヘルスビッグデータと遠隔医療の2つを報告セグメントとする企業です。2026年3月期通期決算説明資料(2026年5月8日)は、ヘルスビッグデータを「コアセグメント」と位置づけ、「日本におけるヘルスケアの多様なデータを結集し、すべてのヘルスケアプレーヤーがデータを活用できる環境を構築する」ものと説明しています。

同資料では、データの提供先・活用先として、保険者、保険会社、製薬企業、調剤薬局、医療機関、医師、事業主、生活者が図示されています。事業領域は、製薬企業や保険会社等向けの「インダストリー向け」、健保組合・自治体向けの「保険者・生活者向け」、医療機関・クリニック向けの「医療提供者向け」の3つに分けられています。

収益の仕組み

同資料によると、インダストリー向けは、データの提供にとどまらず、データベース、解析、コンサルティング、ソリューションへと「より付加価値の高いサービスへのシフト」が進んでいるとされています。保険者・生活者向けは、健保組合向けのデータ分析と、健保組合員向けICTプロダクト「Pep Up」、自治体向けサービスなどで構成されます。医療提供者向けは、薬剤データベース、医療機関向けデータ分析、経営コンサル・ファイナンス、WEB問診、集患・予約システムなどです。

医療機関向けでは、同資料に、データ基盤サービスの導入施設が約3,600病院、そのうちデータ活用許諾を取得済みの病院が約1,500病院と記載されています。システムを提供することでデータ活用の許諾を得る形でデータ資産が広がっていると読み取れます。

公開資料から読み取れること

2026年3月期(IFRS)の数値は次のとおりです。

  • 連結売上収益:504億6,200万円(前期比21%増)
  • 連結営業利益:105億2,100万円(同21%増)、EBITDA:131億7,800万円(同21%増)
  • ヘルスビッグデータセグメント売上:440億7,000万円(同24%増)、EBITDA:117億2,200万円(マージン27%)
  • 領域別売上(単純合算):インダストリー向け163億5,500万円(同23%増)、保険者・生活者向け108億8,900万円(同16%増)、医療提供者向け172億300万円(同30%増)
  • 取引健保の母集団数:2,076万人、Pep Up-ID数:803万人

インダストリー向けの売上内訳(25年3月期→26年3月期)は、データ64億400万円→66億8,700万円、解析42億9,000万円→59億3,200万円、ソリューション25億9,500万円→37億3,500万円と開示されています。同社は、製薬企業のメディカル部門向けでデータ処理の遅れと営業リソース配分により事業が軟調だったと説明しています。

新規事業への示唆

同社の資料からは、データそのものの提供に加えて、解析、コンサルティング、システム提供を重ねて、同じデータ資産から売上の種類を増やしていく構成が読み取れます。また、医療機関向けシステムの提供がデータ活用許諾の取得とつながっている点は、データの入手方法を「顧客にサービスを提供する見返り」として設計する例として参考になります。

一方で、2026年3月期は新規データの処理に想定以上の工数がかかり、売上の拡大が計画に届かなかったと同社が説明しています。データ量が増えても、整えて提供できる状態にするまでの工程が収益の制約になりうることが資料から分かります。

参考資料

この事例は各社の公開資料をもとに整理したもので、記載は参照資料の時点の内容です。最新の情報は各社の公式発表をご確認ください。