InterDigital, Inc.
無線・映像技術の特許ライセンス
- 国
- 米国
- 上場
- NASDAQ IDCC
- 参照資料
- FY2025(2025年12月期)Form 10-K
スマートフォンなどに使われる無線・映像技術の特許を持ち、メーカーから使用料を受け取る米国企業で、収益の93%が固定額契約という事例です。
事業の概要
InterDigitalは、無線通信や映像などの技術を研究開発し、特許を取得して、機器メーカーなどに利用を許諾する米国企業です。Form 10-K(FY2025、2025年12月期)によると、同社の特許技術はスマートフォン、タブレット、基地局、テレビ、ノートPC、ゲーム機、コネクテッドカーなどの機器や、動画配信などのサービスに使われています。同社は、収益を主に自社の特許技術のライセンスから得ていると説明しています。
収益の仕組み
同10-Kによると、特許ライセンス契約の多くは固定額の契約で、一部が販売数量に応じた変動ロイヤルティ契約です。固定額と変動の双方を含むハイブリッド型もあり、一定の台数を超えた場合に変動分が発生します。新たに契約を結ぶ際には、契約前に販売された未許諾の製品分の支払い(キャッチアップ収益)と、契約期間中の販売分の使用料を受け取る形が基本になると記載しています。
契約の更新で条件が決まらない場合は、仲裁で条件を決めることもあります。同社はSamsungとの特許ライセンスについて、国際商業会議所(ICC)の仲裁パネルが、2023年1月から2030年12月までの8年間の使用料総額を10億5,000万ドルと定めたと記載しています。
公開資料から読み取れること
Form 10-K(FY2025)の数値は次のとおりです。
- 総収益:8億3,400万ドル(前年8億6,850万ドル)
- うちキャッチアップ収益:2億7,740万ドル(前年4億6,010万ドル)
- 固定額契約の割合:収益の93%
- 当期純利益:4億664万ドル(前年3億5,861万ドル)
- 売上の10%以上を占めた顧客:Samsung、Apple、vivoの3社
- Samsungとの契約で認識する経常的な収益:年間約1億3,100万ドル(従来の契約から67%増)
収益は減少しましたが、当期純利益は増加しており、ライセンスの収益が契約更新や過去分の精算のタイミングで大きく動くことが読み取れます。また、同10-Kは、更新されていない契約や、2026年末までに満了を迎える契約があることも記載しています。
新規事業への示唆
特許ライセンスは、相手が使う技術に対して使用料を受け取るため、売上が特定の大口顧客に集中しやすいことが数字から分かります。一方、契約期間が長い固定額契約は、販売数量に左右されにくい収益になります。新規事業でライセンスを考える際は、契約更新のタイミングによる収益の波、大口顧客への依存、条件が決まらないときの解決方法(交渉、仲裁、訴訟)をあらかじめ想定しておく必要があります。
参考資料
この事例は各社の公開資料をもとに整理したもので、記載は参照資料の時点の内容です。最新の情報は各社の公式発表をご確認ください。
