W.W. Grainger, Inc.
Endless Assortment(Zoro・MonotaRO)セグメント

国
米国
上場
ニューヨーク証券取引所 GWW
参照資料
FY2025(2025年12月期)Form 10-K(2026年2月提出)

Zoroなどで1,300万点規模の商品を載せ、在庫外の商品はメーカーから直送する、米国MRO大手の品揃え拡大型オンライン事業の事例です。

事業の概要

W.W. Grainger(以下、Grainger)は、工場や施設の保守・修繕・運用(MRO)に使う資材を扱う米国の企業です。Form 10-K(FY2025、2025年12月期)によると、同社の報告セグメントは「High-Touch Solutions North America」と「Endless Assortment」の2つです。

Endless Assortmentは、「数百万点の商品をワンストップで買えるオンラインの場」を提供するセグメントとされ、米国のZoro Tools, Inc.(Zoro)と日本のMonotaRO Co., Ltd.のオンライン販売チャネルが含まれると記載されています。同10-Kは、Zoroが約1,300万点、MonotaROが約2,900万点の商品を扱うと説明しています。比較対象として、High-Touch Solutions側は約200万点を扱うとされています。

収益の仕組み

同10-Kによると、Endless Assortmentの注文は主にオンラインで受け付けます。Zoroは、High-Touch Solutions N.A.の物流センター網と第三者による直送(ドロップシップ)を使って商品を届け、MonotaROは自社の物流センターと第三者直送で届けると記載されています。

在庫の持ち方にも違いがあります。同10-Kは、5,000社超の主要サプライヤーが、物流センターと店舗(ブランチ)に置かれる150万点超の商品を供給していると説明しています。一方、Endless Assortment側については、品揃えの拡大にあたり「第三者が保有する商品(third party held products)」の取扱いを広げていくと記載しています。つまり、在庫を持つ商品と持たない商品を分けることで、掲載点数を増やしながら在庫負担を抑える形です。

顧客は、購買プロセスが比較的単純な中小企業が中心で、価格の分かりやすさと買いやすさを重視すると説明されています。

公開資料から読み取れること

Form 10-K(FY2025)の数値は次のとおりです。

  • Grainger全体の売上高:179億4,200万ドル(前年比4.5%増)
  • Endless Assortmentの売上高:36億2,500万ドル(前年比15.7%増)。同10-Kは、増加の理由を同セグメントのリピート需要と、MonotaROの大企業顧客の拡大と説明
  • Endless Assortmentの売上総利益:10億8,500万ドル(売上総利益率29.9%)
  • Endless Assortmentの営業利益:3億4,500万ドル(前年比32.7%増)
  • High-Touch Solutions N.A.の売上高:139億9,300万ドル(前年比2.0%増)、営業利益23億5,400万ドル

上記の数値から計算すると、Endless Assortmentの営業利益率は約9.5%、High-Touch Solutions N.A.は約16.8%です。同10-Kは、Endless Assortmentの販管費の増加は主にマーケティング費用の増加によると記載しています。

新規事業への示唆

Graingerは、同じ会社の中で「専門的な提案と在庫で対応する事業」と「点数を広げて価格と買いやすさで選ばれる事業」を分けて運営しています。ロングテール型は、商品点数の広さが入口になる一方で、1点ごとの在庫を持たない仕組み(直送など)と組み合わせる必要があることが読み取れます。

また、売上の伸びと利益率は別の数字です。上記のとおり、Endless Assortmentは売上の伸びが大きい一方、利益率は同社のもう一方のセグメントより低い水準にあります。新規事業で品揃えを広げる場合は、点数の増加に伴う集客費用や配送の仕組みが、利益にどう影響するかを併せて見る必要があります。

参考資料

この事例は各社の公開資料をもとに整理したもので、記載は参照資料の時点の内容です。最新の情報は各社の公式発表をご確認ください。