フリー株式会社(freee)
統合型経営プラットフォーム「freee」(会計・人事労務などのクラウドサービス)
- 国
- 日本
- 上場
- 東証グロース 4478
- 参照資料
- 2026年6月期(2026年9月)事業計画及び成長可能性に関する説明資料
クラウド会計などの月額課金を中核に、法人カードなどの取引連動の収益を加えて、プラットフォームARRを開示している企業の事例です。
事業の概要
freeeは、スモールビジネス向けに、会計、人事労務、販売管理、経費精算、請求管理などを一つにつなげた「統合型経営プラットフォーム」を提供しています。「事業計画及び成長可能性に関する説明資料(2026年9月)」によると、同社は「スモールビジネスを、世界の主役に。」をミッションに掲げ、潜在顧客は個人事業主約450万人、小規模企業約180万社、中規模企業約30万社と説明しています。
収益の仕組み
同資料は、プラットフォームARRを、継続的に得られる収益を1年あたりの金額に換算した指標とし、「サブスクリプションARR」と「トランザクションARR」から構成されると説明しています。サブスクリプションARRは、各期末月のMRR(継続課金ユーザー企業の月額料金の合計)を12倍した指標で、トランザクションARRは、従量型・手数料型売上の期末月の売上高を12倍した指標です。
同資料は、会計ソフトと決済・金融機能を結びつけた「Embedded Finance」を提供し、ARPUの上昇と顧客の定着によりLTVの最大化を図ると説明しています。月次解約率は、当該月に有料課金でなくなったユーザーに関連するARRを前月末ARRで割った値の過去12か月平均と定義されています。
公開資料から読み取れること
同資料の2026年6月期(2026年6月末)の数値は次のとおりです。
- 売上高:424億4,100万円(前期比27.6%増)、売上総利益率:81.0%
- 調整後営業利益:26億6,300万円(調整後営業利益率6.3%)
- プラットフォームARR:435億9,500万円(前年同期比21.8%増)
- サブスクリプションARR:412億7,400万円(法人セグメントで新規獲得が好調で、前年同期比21.9%増)
- トランザクションARR:法人向けクレジットカード事業の拡大により前年同期比65.4%増
- 有料課金ユーザー企業数:69万4,586件(個人事業主41万9,957件、法人27万4,629件)
- 12か月平均月次解約率:全体1.0%、法人0.5%
- 法人セグメントのARPU:12万6,655円(前年同期比6.1%増)
同資料は、個人事業主セグメントでは確定申告後の解約を抑制したことで、サブスクリプションARRが前年同期比13.5%増になったと記載しています。
新規事業への示唆
freeeの資料では、月額課金の積み上がりと、顧客との取引に連動して発生する収益を、別々の指標(サブスクリプションARR、トランザクションARR)として開示しています。継続課金の顧客基盤の上に、決済や金融などの追加の収益源を重ねる場合は、課金方式の異なる収益を分けて見る必要があることが分かります。
また、個人事業主と法人とでは解約率に差があり、同社は季節要因(確定申告後の解約)にも言及しています。サブスクリプションの新規事業でも、顧客層ごとに解約率と単価を分けて計画することが、見込みの精度を左右すると考えられます。
参考資料
この事例は各社の公開資料をもとに整理したもので、記載は参照資料の時点の内容です。最新の情報は各社の公式発表をご確認ください。
