FIGS, Inc.
FIGSの医療従事者向けスクラブ・アパレルの直販(DTCデジタルプラットフォームとCommunity Hubs)

国
アメリカ
上場
NYSE FIGS
参照資料
FY2025(2025年12月期)Form 10-K

医療従事者向けスクラブを自社サイトとアプリ中心に直接販売し、売上総利益率66.5%を確保する一方、販売費・広告費を差し引くと利益が薄い米国企業の事例です。

事業の概要

FIGSは、医療従事者向けのアパレルとライフスタイル商品を扱う企業です。Form 10-K(FY2025、2025年12月期)は、同社を「founder-led, direct-to-consumer healthcare apparel and lifestyle brand」と表現し、商品を主に自社のDTCデジタルプラットフォーム(ウェブサイト、モバイルアプリ、法人向けのTEAMS)で販売していると記載しています。あわせて、Community Hubsと呼ぶ実店舗を運営しており、10-Kの時点で5店と記載されています。

商品は主に自社で設計し、部材と完成品の生産は第三者のサプライヤーや製造業者を活用していると説明されています。

収益の仕組み

10-Kは、従来の医療用ユニフォームの流通について、ライセンス販売に伴う制約や、地域の医療用品店などの分断された流通網、エンドユーザーとの直接のつながりの欠如を課題として挙げています。同社は、顧客体験を自社で一貫して持つDTCの仕組みにより、リアルタイムの顧客データを得られると説明しています。

費用面では、販売費(Selling)に、物流センターでの出荷作業、配送費、返品にかかる輸送費、決済手数料、梱包費が含まれると記載されています。マーケティング費は、主にリターゲティング、検索広告、SNS広告などオンラインのパフォーマンスマーケティング費用で構成されると記載されています。

公開資料から読み取れること

Form 10-K(FY2025)の数値は次のとおりです。

  • 売上高:6億3,110万ドル(前年比13.6%増、前年は5億5,560万ドル)
  • 売上総利益:4億1,980万ドル、売上総利益率66.5%(前年は67.6%)
  • 販売費:1億4,585万ドル(売上高比23.1%)
  • マーケティング費:9,311万ドル(同14.8%)
  • 一般管理費:1億4,274万ドル(同22.6%)
  • 営業利益:3,815万ドル(同6.0%)、当期純利益:3,425万ドル(前年は272万ドル)
  • アクティブ顧客数:約290万人(前年末は約270万人)、顧客1人あたり売上高:216ドル(前年は208ドル)

中間の流通を省く分、売上総利益率は高い水準にある一方、販売費とマーケティング費だけで売上高の37.9%(上記の比率の合計)を占めており、粗利の大きな部分が配送と集客に使われる構造が数字から読み取れます。10-Kは、顧客の獲得経路として、口コミと、データに基づくブランドマーケティング・パフォーマンスマーケティングの両方を挙げています。

新規事業への示唆

D2Cでは、売上総利益率の高さだけでなく、配送・返品・集客にいくらかかるかまで含めて採算を見る必要があります。FIGSの数字では、粗利の高さが販売費とマーケティング費に大きく振り向けられています。

また、同社は個人向けのウェブサイトとアプリに加え、法人向けのTEAMSや実店舗を組み合わせています。商品を試せる場や、組織単位でまとめて買える窓口といった、直販を補う接点をどう設けるかが、購入頻度の低い商品を直販する際の検討点になります。

参考資料

この事例は各社の公開資料をもとに整理したもので、記載は参照資料の時点の内容です。最新の情報は各社の公式発表をご確認ください。