Fastly, Inc.
エッジクラウド・プラットフォーム「Fastly」
- 国
- 米国
- 上場
- ニューヨーク証券取引所 FSLY
- 参照資料
- FY2025(2025年12月期)Form 10-K(2026年2月提出)
CDNなどのエッジクラウドを、配信データ量やリクエスト数に応じた課金で提供し、売上の大半を利用量に連動させている米国企業の事例です。
事業の概要
Fastlyは、ウェブサイトやアプリ、APIの配信を速くするCDN(コンテンツ配信網)に、セキュリティやコンピュート(計算処理)などの機能を組み合わせたエッジクラウドを提供しています。Form 10-K(FY2025、2025年12月期)によると、売上は製品群別にNetwork Services(配信・性能向上)、Security、Otherに分けて開示されています。
収益の仕組み
同10-Kは、売上は主にプラットフォームの利用に伴う従量の料金から生じ、これに加えてセキュリティ製品などによる固定額の継続収入があると説明しています。Network Servicesは、確約した量または実際の利用量に基づき、ギガバイトとリクエスト数を単位に課金されるとされています。従量の料金は原則として後払いで請求され、多くの顧客には利用が増えるほど単価が下がる段階的な料金が適用されると記載されています。
契約期間は通常12か月で、月ごとの最低請求額を設けて単価を有利にする形が多いとされ、多くの顧客が最低額を超えて請求を受けると説明されています。クレジットカードによるオンライン契約では、月額の最低料金に同意する形もあります。また、売上の大半は従量で、最大手顧客の利用の変動が売上の変動要因になりうると述べています。
公開資料から読み取れること
Form 10-K(FY2025)の主な数値は次のとおりです。
- 売上高:6億2,401万8,000ドル(前年5億4,367万6,000ドル、15%増)
- 製品群別:Network Services 4億7,777万4,000ドル(77%)、Security 1億2,506万1,000ドル(20%)、Other 2,118万3,000ドル(3%)
- 営業損失:1億1,900万ドル(前年は1億6,791万5,000ドルの営業損失)
- LTM NRR(直近12か月の既存顧客の売上継続率):110.1%(前年102.3%)
- 上位10社の顧客が売上に占める割合:32%
- 残存履行義務:3億5,380万ドル
同社は、LTM NRRを、従量課金モデルに内在する変動を和らげて顧客の維持状況を見る指標として使っていると説明しています。
新規事業への示唆
従量課金では、顧客の利用量が売上に直結するため、少数の大口顧客の利用の変動が全体の売上を揺らします。同社の資料では、上位10社が売上の32%を占めると記載されており、大口への依存度を指標として追う必要があることが分かります。また、月の最低請求額や段階的な単価を組み合わせることで、顧客の利用拡大に応じた割引を提供しつつ、売上の下限を確保する設計になっている点は、従量課金の料金体系を考える際の参考になります。
参考資料
この事例は各社の公開資料をもとに整理したもので、記載は参照資料の時点の内容です。最新の情報は各社の公式発表をご確認ください。
