株式会社ELEMENTS
オンライン本人確認サービス「LIQUID eKYC」「ポラリファイ eKYC」(個人認証ソリューション)

国
日本
上場
東証グロース 5246
参照資料
第12期(2025年11月期)有価証券報告書(2026年2月提出)、2026年11月期第2四半期(中間期)決算短信〔日本基準〕(2026年7月14日)

金融機関や通信会社などのサービスに組み込まれるeKYCを、利用件数に応じた従量課金で提供する日本企業で、導入事業者の先のユーザーが利用する事例です。

事業の概要

ELEMENTSは、スマートフォンなどで本人確認書類と顔を撮影してオンラインで本人確認を行う「LIQUID eKYC」「ポラリファイ eKYC」を提供しています。有価証券報告書(第12期、2025年11月期)は、同社のビジネスモデルを「主にBtoBtoC」とし、一般ユーザーにデジタルサービスを提供する事業者へ、同社のAIクラウド基盤を導入していると説明しています。

同報告書によると、LIQUID eKYCは2019年に提供を開始し、「LIQUID eKYC」と「ポラリファイeKYC」を合わせた累計の本人確認件数は2025年11月に1.5億件を突破しました。2025年11月末時点で650社以上の事業者に採用されていると記載されています。導入先としてKDDI、NTTドコモ、ソフトバンク、ゆうちょ銀行、三井住友銀行、ジェーシービー、楽天証券などが挙げられています。

収益の仕組み

同報告書は、個人認証ソリューションについて、サービスを導入する事業者がユーザーに提供するデジタルサービスの利用件数に応じた従量課金で対価を受領すると記載しています。一部の事業者にはパートナー事業者を通じて提供します。収益認識の欄では、契約期間に応じて利用環境を提供する履行義務として一定期間にわたり収益を認識し、初期導入費用は一時点で認識するとされています。

また、事業者の業種・規模を問わず汎用的なサービスを提供するため、導入事業者ごとに多額の開発費用が発生せず、高利益構造になっていると同社は説明しています。なお、API提供の有無や料金表は、確認した資料には記載がありませんでした。

公開資料から読み取れること

有価証券報告書(2025年11月期)の数値は次のとおりです。

  • 売上高:38億9,511万円(前期比53.0%増)
  • EBITDA:2億7,068万円(前期比21.1%減)、営業損失:2億1,531万円
  • LIQUID eKYCとポラリファイeKYCの売上高は、グループ全体の約7割

2026年11月期第2四半期(中間期)決算短信では、売上高27億9,900万円(前年同期比65.6%増)、営業利益3億2,766万円と記載され、通期予想は売上高56億〜57億円とされています。

同報告書のリスク記載には、売上高の相当程度が主力のeKYCサービスに依存していること、犯罪収益移転防止法の改正によってeKYCの利用に制約が生じる可能性があることが挙げられています。

新規事業への示唆

利用件数に応じた従量課金では、導入事業者のサービスが使われるほど売上が増えます。同社の資料では、金融機関や通信会社の口座開設・回線契約といった、利用の多い場面に組み込まれることで累計件数が積み上がったことが読み取れます。

一方で、売上は導入先の申込件数に左右され、特定のサービスや法規制への依存も生じます。従量課金の事業を設計する際は、利用件数が増える場面を持つ顧客をどう獲得するか、主力サービスへの依存を和らげる次のサービスをどう用意するかを、収益の見通しと合わせて考える必要があります。

参考資料

この事例は各社の公開資料をもとに整理したもので、記載は参照資料の時点の内容です。最新の情報は各社の公式発表をご確認ください。