Dolby Laboratories, Inc.
Dolby Atmos・Dolby Visionなどの技術ライセンスと特許ライセンス

国
米国
上場
ニューヨーク証券取引所 DLB
参照資料
FY2025(2025年9月期)Form 10-K

収益の93%を、音響・映像技術のブランドライセンスと特許ライセンスから得ている米国企業の事例です。約1,000社の機器メーカーが対象です。

事業の概要

Dolby Laboratoriesは、音響・映像技術を開発し、その利用を機器メーカーなどに許諾する米国企業です。Form 10-K(FY2025、2025年9月期)によると、ライセンスは大きく二つに分かれます。一つはDolby AtmosやDolby Visionなどの「ブランド技術」、もう一つは標準化された音声・映像技術に必要な特許(パテント)です。同社は、FY2025の収益の90%超を、約1,000社の電子機器メーカーとの技術・特許のライセンス契約から得たと説明しています。

収益の仕組み

同10-Kによると、ブランド技術のライセンスは、まず半導体メーカーに許諾し、次に機器メーカー(OEM)に許諾する二段階で行われることが多く、直接、機器メーカーに許諾する場合もあります。ブランド技術の顧客は通常、販売した1台ごとに使用料を支払う「1台あたりのロイヤルティ」契約を結び、一定台数を最低限約束する契約を選ぶ顧客もいると記載されています。

特許ライセンスの収益の大半は特許プール(複数の特許権者の特許をまとめて許諾する仕組み)からのロイヤルティで、一部は個別交渉の契約によるものと説明しています。このほか、未許諾の利用に対する回収(リカバリー)や、Dolby Cinemaの興行収入の分配もライセンス収益に含まれます。同社は、Dolby Cinemaの設備を提供する際、上映館に最小限の初期負担で技術を提供し、興行収入の一部を受け取ると記載しています。

公開資料から読み取れること

Form 10-K(FY2025)の数値は次のとおりです。

  • 総収益:13億4,913万ドル(前年12億7,372万ドル)
  • ライセンス収益:12億4,802万ドル(前年比6%増、総収益の93%)
  • 製品・サービス収益:1億111万ドル(総収益の7%)
  • ライセンスの売上総利益率:93%、製品・サービスの売上総利益率:24%
  • 営業利益:2億6,496万ドル
  • ライセンス収益の市場別内訳:放送34%、モバイル22%、PC12%、家電(CE)12%、その他20%

ライセンスの売上総利益率が93%である一方、製品・サービスは24%にとどまっており、利益の大部分がライセンスから生まれていることが数字から読み取れます。同10-Kは、ライセンス収益が機器メーカーによる売上台数の報告や最低台数の約束のタイミングで、四半期ごとに変動し得るとも説明しています。

新規事業への示唆

自社で開発した技術を、機器メーカーが採用する理由(ブランドの認知、規格への組み込み)とともに提供すると、使用料が相手の販売台数に連動して積み上がることが分かります。一方、収益は相手の売上報告に左右されるため、報告の正確性を確認する仕組みや、最低台数の約束などの契約設計が重要になります。新規事業でライセンスを考える際は、技術そのものに加えて、採用してもらう半導体・機器メーカーの範囲と、料金の取り方(1台あたり、固定額、最低保証)をあらかじめ決めておく必要があります。

参考資料

この事例は各社の公開資料をもとに整理したもので、記載は参照資料の時点の内容です。最新の情報は各社の公式発表をご確認ください。