DigitalOcean Holdings, Inc.
クラウド基盤「DigitalOcean」
- 国
- 米国
- 上場
- ニューヨーク証券取引所 DOCN
- 参照資料
- FY2025(2025年12月期)Form 10-K(2026年2月提出)
開発者や中小のデジタル企業向けクラウドを、利用実績に応じた月次課金で提供し、月額制の自社サービスの大半を従量で稼ぐ米国企業の事例です。
事業の概要
DigitalOceanは、仮想サーバー「Droplet」やストレージ、ネットワーク、マネージドデータベース、AI向けのGPU基盤などを提供するクラウド事業者です。Form 10-K(FY2025、2025年12月期)は、同社を、AIとデジタルネイティブ企業(Digital Native Enterprise、DNE)がアプリケーションを構築・運用・拡張するための基盤と説明しています。
DNE顧客は「月に500ドル超を使う利用者」と定義されており、2025年末時点で約2万1,000社、2025年の売上の60%を占めると記載されています(2024年は55%、2023年は53%)。
収益の仕組み
同10-Kは、売上は主にプラットフォームの利用から生じ、顧客の利用実績に基づいて認識すると説明しています。料金は主に消費ベース(consumption-based)で、大半の顧客は月単位で利用しており、料金は月次で請求されます。取引価格は、その月の利用量に、同社サイトで公表している単位(例として時間単位)の単価を掛けて算出するとされています。
契約は通常月単位で、特定の利用量や期間を顧客に義務づけないとしています。一方で、より大きな用途で使う顧客が増え、最低利用額を約束する「コミットメント契約」を結ぶ顧客も出てきたと記載されています。リスク要因の欄では、事業は利用量に連動するため、顧客が利用を維持・拡大することが業績にとって重要だと述べています。
公開資料から読み取れること
Form 10-K(FY2025)の主な数値は次のとおりです。
- 売上高:9億142万7,000ドル(前年7億8,061万5,000ドル、15%増)
- 営業利益:1億5,698万9,000ドル(前年9,100万7,000ドル)
- DNE顧客の売上は前年比24%増と記載
- コミットメント契約などに係る残存履行義務:1億3,408万5,000ドル(加重平均期間2.0年)。このうち7,279万9,000ドルを今後12か月で収益認識する見込み
売上の増加要因として、既存顧客による製品の利用拡大が挙げられています。月単位で使える料金と、一部の大口顧客向けの最低利用額の約束が併存している点が、資料から読み取れます。
新規事業への示唆
月単位で使え、使った分だけ払う料金は、顧客にとって最初の支払いが小さく、導入の敷居が下がります。同社の資料では、売上の増加が既存顧客の利用拡大に支えられていると説明されており、従量課金では「新規顧客の数」と「顧客あたり利用量」を分けて追う必要があることが分かります。また、利用が大きくなった顧客には最低利用額を約束する契約を用意する動きも記載されており、売上の見通しを立てにくい従量課金に、約束された売上を組み合わせる設計の一例として参考になります。
参考資料
この事例は各社の公開資料をもとに整理したもので、記載は参照資料の時点の内容です。最新の情報は各社の公式発表をご確認ください。
