Couchbase, Inc.
Couchbase Server・Capella(NoSQLデータベースのEnterprise Editionとクラウド)

国
米国
上場
NASDAQ BASE
参照資料
FY2025(2025年1月期)Form 10-K(2025年3月25日提出)

ソースコードを公開し無償のCommunity Editionで利用者を広げ、Enterprise Editionの年間契約とクラウド課金で稼ぐ米国企業の事例です。

事業の概要

Couchbaseは、NoSQLデータベース「Couchbase Server」とクラウドサービス「Couchbase Capella」を提供する米国企業です。Form 10-K(FY2025、2025年1月期)によると、同社の製品の多くはインターネット上で無償で入手でき、ソースコードの相当部分をオープンソースまたはソースアベイラブル(source available)の条件で公開しています。

同社は、一部の公開ソースコードにBSL 1.1(Business Source License)を採用しており、BSL 1.1はオープンソースライセンスではない、と同10-Kが明記しています。同社は、BSL 1.1により、ソースコードの商用利用を透明性を保ちつつ管理できると説明しています。

収益の仕組み

同10-Kによると、売上の96%(FY2025)は購読が占めます。主な収益源はEnterprise EditionのCouchbase ServerとCouchbase Mobileで、Serverはノード単位でライセンスされ、価格はサーバー1台あたりの計算能力・メモリと、サポートの水準で決まるとされています。サポートはPlatinum(24時間365日、重大障害で応答30分)、Gold(24時間365日、同2時間)、Silver(平日日中、同5時間)の3段階です。

クラウド型のCapellaは消費ベースで、時間単位の料金で使った分だけ支払う形と説明されています。無償のCommunity Editionについては、Serverのコア機能を含む一方、スケール時の性能やセキュリティの機能が限られ、Couchbaseからの直接サポートがないと記載されています。同社はこれを開発者の採用を促し、将来の有償製品の購入につなげるものと位置づけています。

公開資料から読み取れること

Form 10-K(FY2025、2025年1月31日期)の数値は次のとおりです。

  • 総売上高:2億947万ドル(前年1億8,004万ドル、16%増)
  • 購読収益:2億41万ドル(ライセンス2,291万ドル、サポート等1億7,750万ドル)、サービス:906万ドル
  • ARR:2億3,790万ドル(前年2億420万ドル、17%増)
  • 純損失:7,465万ドル(前年8,018万ドル)

リスク情報には、オープンソースの権利により競合が参入しやすいこと、無償版で十分と考える顧客が有償版に移らない可能性、無償版にどの機能を入れるかの判断が業績に影響しうることが記載されています。

新規事業への示唆

無償版と有償版の機能の線引きが、収益に直結します。Couchbaseは、無償版にサポートや企業向けの性能・セキュリティ機能を含めず、有償版との差を設けています。また、競合の模倣を抑えるために、純粋なOSSライセンスではなくBSL 1.1を選んでおり、「オープンにするほど広がるが、収益化しにくくなる」という交換条件への対処がライセンス選択に表れています。

この型を検討する際は、無償利用者を増やす施策と、有償に切り替わる条件(サポート水準、運用の手間、規模)を同時に設計する必要があります。

参考資料

この事例は各社の公開資料をもとに整理したもので、記載は参照資料の時点の内容です。最新の情報は各社の公式発表をご確認ください。