アスクル株式会社
オフィス・現場用品の通販「ASKUL」と「LOHACO」

国
日本
上場
東証プライム 2678
参照資料
第62期(2025年5月期)有価証券報告書(2025年7月30日提出)、Investors Guide 2026年2月版

利用頻度の高い商品は各地の拠点に、専門性の高い商品は広域センターに置き、品揃えを広げながら翌日配送するアスクルの事例です。

事業の概要

アスクルは、オフィス・現場用品を法人向けに、LOHACOとして一般消費者向けに通信販売する企業です。有価証券報告書(第62期、2025年5月期)によると、OA・PC用品、事務用品、オフィス生活用品、オフィス家具、食料品、酒類、医薬品、化粧品、MRO商材、ペット用品などを扱い、ASKUL事業の中心は、ネットとFAXの注文によるオフィス現場用品の翌日配送(一部は当日配送)です。

同社の投資家向け資料(Investors Guide、2026年2月版)には、1992年に「500アイテムからサービス開始」し、お客様の声を聞きながら取扱商品を拡大してきたと記載されています。

収益の仕組み

有価証券報告書によると、ASKUL事業は、顧客との間に販売店(エージェント)を置き、新規顧客の開拓と代金回収をエージェントが担う独自のモデルです。エージェントは、顧客への販売価格と同社からの仕切り価格の差額を利益として得ると説明されています。

品揃えと在庫の置き方について、Investors Guideは物流センターを2種類に分けています。

  • WDC(広域物流センター):基幹拠点で、「専門性が高いロングテール商品も在庫」し、ASKULとLOHACOの双方を出荷
  • LDC(地域物流センター):顧客に近い拠点で、「使用頻度が高い消耗品(ヘッド商品)中心に在庫」し、担当エリアへ当日配送

よく使う商品は近くに、頻度の低い商品は集約して置くことで、品揃えと配送の速さを両立させる設計といえます。年表には2011年の「サプライヤー直送開始」も記載されています。

公開資料から読み取れること

有価証券報告書(2025年5月期)の数値は次のとおりです。

  • 連結売上高:4,811億1百万円(前期比2.0%増)
  • 営業利益:140億4百万円(前期比17.4%減)
  • ASKUL事業の売上高:3,584億6,300万円(前期比1.5%増)、LOHACO事業は368億4,200万円(同1.9%増)
  • eコマース事業の売上総利益率:24.8%(前期比0.5ポイント低下)

同報告書は、2025年5月期の計画未達の要因の一つとして、「商材拡大(アイテム数)偏重による新規投入商品の低稼働」を挙げています。また、取扱商品のアイテム数が年々加速度的に増加していることを、商品情報の掲載ミスなどのリスクとして記載しています。2026年5月期の通期資料は、本稿では確認できていません。

新規事業への示唆

品揃えを広げる際は、頻繁に売れる商品と、たまにしか売れない商品で、在庫を置く場所や方法を分ける考え方が資料から読み取れます。アスクル自身も、アイテム数を増やしても新規投入商品が十分に動かない場合があることを開示しています。

新規事業でロングテール型を考える場合は、商品点数を目標にするのではなく、どの商品がどの顧客に、どの頻度で買われるのかを確認し、その頻度に合う在庫と配送の方法を決める順序が重要になります。

参考資料

この事例は各社の公開資料をもとに整理したもので、記載は参照資料の時点の内容です。最新の情報は各社の公式発表をご確認ください。