株式会社アドバンスト・メディア
AI音声認識「AmiVoice」の音声認識API・開発プラットフォーム「AmiVoice Cloud Platform」(SDX事業部)

国
日本
上場
東証グロース 3773
参照資料
第29期(2026年3月期)有価証券報告書(2026年6月24日提出)、2027年3月期第1四半期決算短信〔IFRS〕(2026年8月14日)

音声認識APIを開発者向けに提供する「AmiVoice Cloud Platform」を持つ日本企業で、API・SDKは複数ある事業部の一つという位置づけの事例です。

事業の概要

アドバンスト・メディアは、AI音声認識「AmiVoice」を核に、コンタクトセンター向け、議事録作成、医療、建設・不動産などの製品・サービスを展開する企業です。有価証券報告書(第29期、2026年3月期)によると、事業は音声事業の単一セグメントで、「サービス事業」「プロダクト事業」「ソリューション事業」の3つで構成されています。

API・開発者向けの窓口にあたるのが、音声認識APIを提供する開発プラットフォーム「AmiVoice Cloud Platform(ACP)」です。同報告書の沿革には、2019年12月に同プラットフォームをリリース、2020年7月に領域特化型エンジンの提供を開始、2025年3月に音声認識API「AmiVoice API」へ次世代の音声認識エンジンを搭載したと記載されています。導入事例の欄には、開発キット・API分野の例として「Notta」(Notta株式会社)、「toruno」(株式会社リコー)、「bellFace」(ベルフェイス株式会社)などが挙げられています。

収益の仕組み

同報告書の収益認識の記載では、音声認識サービスの提供について「契約内容に従い、利用に応じて、又は一定期間にわたり均等に」履行義務が充足されると判断して収益を認識しているとされています。アプリケーション商品のライセンス販売は引渡し時点、ソリューションの企画・設計・開発は検収時点で収益を認識すると記載されています。

APIとSDKは、SDX事業部(API・SDK/接客・商談ソリューション/製造・物流業界向け事業)が担当しています。ただし、APIの料金体系(従量の単価など)や、ACP単独の売上は、確認した資料には記載がありませんでした。

公開資料から読み取れること

有価証券報告書(2026年3月期)の数値は次のとおりです。

  • 売上高:7,063百万円(前期は6,665百万円、6.0%増)、営業利益:1,440百万円(前期は1,442百万円)
  • 第一の成長エンジン(CTI・VoXT・医療・SDXの4事業部)の売上高:6,217百万円、うちストック売上高:4,973百万円、ストック比率:80.0%
  • SDX事業部:ストック比率は前期末71.9%から76.2%へ、領域特化型エンジンのユーザー数(累計)は6,187から8,102へ増加。一方で売上は減収、営業利益は減益と記載

2027年3月期第1四半期決算短信(IFRS)では、連結の売上収益が2,112百万円(前年同期は1,509百万円)、SDX事業部の売上収益は138百万円(連結調整前、前年同期は130百万円)、ストック比率は84.6%(同92.1%)と記載されています。

新規事業への示唆

自社の技術をAPIとして外部の開発者に開放すると、自社が想定していなかった製品(議事録サービスやオンライン営業ツールなど)に組み込まれ、利用が広がる経路になります。同社の資料では、同じ音声認識エンジンを、API、パッケージ製品、業界特化のソリューションなど複数の形で提供している点が確認できます。

一方、この事例ではAPIが事業の中心ではなく、複数の事業部のうち一つです。新規事業としてAPIを検討する際は、APIの利用量そのものが売上のどの程度を占めるのか、他の提供形態と収益をどう分けて見るのかを、早い段階で決めておく必要があります。

参考資料

この事例は各社の公開資料をもとに整理したもので、記載は参照資料の時点の内容です。最新の情報は各社の公式発表をご確認ください。