Zen Habits翻訳:今何に取り組むべきかわからないという不確かさ
この記事は、ブログ「Zen Habits」の創設者レオ・バボータ(Leo Babauta)による記事「The Uncertainty of What You Should Be Working on Right Now」を、新規事業ポータルが独自に日本語へ訳したものです。Zen Habitsは著者によってパブリックドメインとして公開されています(著者による宣言)。原文はこちら。訳文では、原文の趣旨を変えないことを優先しました。
文:レオ・バボータ
ある友人と話をしていました。彼は、人生にはっきりした方向性があると感じられないことが多く、確固とした原則に従って動いているわけでもなく、その時々に自分が何をすべきかがはっきりしないと感じていることがよくあるそうです。
この難しさには、私も心から共感します。今この瞬間に、今日という日に、あるいは人生で、何をすべきかわからないという不確かさです。私たちはこの不確かさを、ストレスや不安、恐れとして、あるいは単に自分は間違ったことをしているという感覚として、いつも感じています。
そこで、私がこの不確かさとどう付き合っているかを紹介したいと思います……禅と、囲碁(黒と白の石を19×19の盤上に打つ、チェスより複雑な中国の戦略ゲーム)から学んだ、いくつかの考え方です。
簡単に言うと、次のような考え方です。
-
盤面全体を心に置く。
-
一度に一石ずつ打つ。
-
不確かさと踊る。
-
跡を残さない。
ひとつずつ見ていきましょう。どれも私にとって、信じられないほど役に立ってきました。
盤面全体を心に置く
まずお断りしておくと、私は囲碁がとても下手です。初心者で、まあ初心者の中級くらいかもしれません。とはいえ、大切なことをいくつか学んできました。
大きなもののひとつが、「盤面全体」を見る姿勢で打つことです。私たち初心者のほとんどは、局所的な状況にとらわれすぎてしまいます。日々の生活で言えば、次々に入ってくるメッセージやメールを見て、目の前に現れたタスクに反応していくことです。
最も強い囲碁の打ち手は、より大きな全体像を意識して打ちます。この局面で、盤面全体は何を求めているのか、と。
日々の生活で言えば、それは意思決定のプロセスに全体像を持ち込むということです。今、あなたの人生には何が必要でしょうか。あなたにとって最も大切なことは何でしょうか。あなたが最も大事にしていることに、最も大きな影響を与えるのは何でしょうか。あなたには、意味のある仕事、尽くしている人たち、目的、使命、方向性があるでしょうか。少しそれについて考え、それを判断の指針にしてください。
あなたにとって大切なことは何でしょうか。それに影響を与えるために、今週、今日、今この瞬間に何ができるでしょうか。
これらの問いに、確かな答えを持っている必要はありません。小さな判断を下すときに、より大きな問いに立ち返るだけでよいのです。そうすれば、ただ反応するだけにならずにすみます。
ですから、ひとつのタスクを終えて次のタスクについて考えるとき、衝動のままに動いたり入ってくるものに反応したりする代わりに……全体像を考え、それに基づいて選ぶべきなのです。
それが次の考え方につながります……
一度に一石ずつ打つ
囲碁を打っていると、石を打ちたい大きな手が10ほど見えます。でも、今打てるのは一手だけです。私が石を打てば、今度は相手が(反対の色の)石を打つ番になるからです。
そこで私が学んだ考え方はこうです。一度に打てるのは一石だけ……だから、今打ちたい十数手の中から、最も大きな手を打たなければならない。
今、あなたにはおそらく、やれることが10や20はあるでしょう。全部を一度にやって、次の1時間で全部終わらせられたらいいのに、と思うかもしれません。でも、それはできません! 一度にできるタスクはひとつだけです。今打てる石は一つだけなのです。
では、全体像を心に置いたうえで……できるタスクのうち、最も重要なのはどれでしょうか。それについて完全に明確な答えを持っている必要はありませんが、その問いを選択の指針にしましょう。ほかのものはひとまず手放し、手番が来るたびに、それらの石を一つずつ打っていくのです。
打てる石は一つです。盤面全体を心に置いたうえで、直感に基づいてひとつ選び、残りは手放しましょう。その選択が確かなものでなければならないという気持ちも手放しましょう……
不確かさと踊る
盤面全体を心に置いて、今やるべき最も重要なタスクを選ぼうとしても……どれを選ぶべきか本当にはわからないことがあります。
それで構いません。本当にわかっている人など誰もいません。囲碁でも、人生でも。確かなことなど決してないのです。
ですから私たちは、その不確かさを受け入れられるようになる必要があります。直感に基づいて、正しいと感じるものを選ぶのです。最も多くの善をなすのはどれか、最も大きな影響を与えるのはどれか、自分や他人の人生の苦しみを最も和らげるのはどれか。
こうした問いは不確かさの中で私たちを導いてくれますが、不確かさがなくなることは決してありません。どんな仕組みやルールも、不確かさをなくすことはできないのです。
ですから、不確かさと踊りましょう。未知の土地に分け入る冒険者のように、それを探検しましょう。好奇心と、驚きと、喜びを持って。
不確かさのただ中で遊びましょう。そこに喜びと軽やかさを持ち込みましょう。そして、何が現れてくるのかを楽しみにしながら、ただ石を打つのです。
跡を残さない
さて、打つ石を選び……不確かさと踊っているなら……今度は、それに完全に飛び込むときです。
宇宙にほかのタスクがひとつもないかのように、このタスクに取り組みましょう。鈴木老師(鈴木俊隆)が『禅マインド ビギナーズ・マインド』で言ったように、自分の跡を残さないのです。タスクの中で自分を完全に燃やし尽くしましょう。
この実践は、タスクの中に完全に入り込むことです。自分のことを考えるのではなく、ただそこにいて、それをする。取り組んでいる間、すべてとひとつになっているかのように、エゴがなく、自分のことを考えるという重荷(私たちはしょっちゅうそうしています)から自由になっているかのように。
わかりにくければ、ただタスクと完全に一緒にいるようにしてみてください。その中に我を忘れるのです。
以上が、その考え方です……
何をするかを選ぶときは、全体像を心に置きましょう。
全体像を心に置いたうえで、今取り組める最も重要なタスクを選びましょう。
そのタスクの不確かさのただ中で遊びましょう。
そして、タスクと完全に一緒にいましょう。
ほかの翻訳記事
Zen Habits翻訳:私にとって最も効果的だった学びの道具
Zen Habitsのレオ・バボータによる記事「My Most Effective Learning Tools」の全訳です。Zen Habitsを始めて約8年で大きく変わった自分を振り返り、人生を振り返る、マインドフルでいる、問題に向き合う、間違いや不確かさを受け入れる、ブログを書く、謙虚でいるという、学びを支えてきた道具を紹介します。
Zen Habits翻訳:とらえにくいワークライフバランスを見つける
レオ・バボータのZen Habitsの記事「Finding the Elusive Work-Life Balance」の全訳です。仕事に追われる人がどうすればバランスの取れた生活を送れるのか。仕事を終える時刻を決める、仕事後に没頭できるものを持つ、今に集中する、スキルを磨いて時給を上げる、仕事が自分のすべてではないと知るなど、7つのヒントを紹介します。
Zen Habits翻訳:人生を丸ごと変えるモチベーションを見つける
レオ・バボータのZen Habitsの記事「Finding the Motivation to Change Your Entire Life」の全訳です。禁煙、借金返済、マラソン、退職と大きな変化を重ねてきた著者が、変化を妨げる恐れや言い訳を挙げたうえで、目的を見つける、時間を確保する、仲間と説明責任をつくる、小さな一歩を踏み出すといった行動を紹介します。
Zen Habits翻訳:人生の目的を見つける方法――型破りなアプローチ
レオ・バボータのZen Habitsの記事「How to Find Your Life Purpose: An Unconventional Approach」の全訳です。人生の目的を見つけるための方法はたった一つ、「自分だけの泡」の外に出ること。自己中心的な視点が怒りや先延ばしを生む仕組みと、泡を出て他者を助けることで目的が見えてくる道筋を解説します。
