Zen Habits翻訳:いつもマインドフルでいるには
この記事は、ブログ「Zen Habits」の創設者レオ・バボータ(Leo Babauta)による記事「How to Be Mindful All the Time」を、新規事業ポータルが独自に日本語へ訳したものです。Zen Habitsは著者によってパブリックドメインとして公開されています(著者による宣言)。原文はこちら。訳文では、原文の趣旨を変えないことを優先しました。記事末尾の告知部分は省略しました。
私はよく、もっと多くの時間マインドフルでいることをどうすれば思い出せるのか、と尋ねられます。今ここにいることだけでなく、思いやりを持つこと、つらい感情を抱いているときに自分の体に意識を落とし込むこと、初心を持つこと、その瞬間のカオスの中でくつろぐことを、どうすれば思い出せるのか、と。
どうすれば、もう少し多くの時間マインドフルでいられるのでしょうか。
私はあなたに、もっと高いところを目指してほしいと思います。どうすれば、いつもマインドフルでいられるのでしょうか。
答えは、「それはできない」です。禅僧でさえ、いつもマインドフルでいる人を私は知りません。でも、だからといってその意図を持つことをやめる必要はありません。ただし、その理想や期待にしがみつかずに、です。
いつもマインドフルでいるという意図を持ったら、何が起きるでしょうか。私たちの中で何が変わるでしょうか。
この意図を持つことで、いくつかの変化が起きると私は考えています。
-
「瞑想は難しい」とか「マインドフルでいることを思い出せない」といった、私たちが抱えているかもしれない物語が消えていきます。いつもそうするという意図を持つことで、あらゆる障壁を取り払い、ただその意図をもっと持ち続けることに取り組むようになります。
-
何が起きても、それは練習の一部になります。怒りやいら立ちを感じた? 問題ありません。それはただマインドフルに見つめ、練習の材料にするものです。今日はマインドフルでいられなかったと自分にがっかりした? 問題ありません。そのがっかりした気持ちで練習すればいいのです。
-
この新しい可能性の中でくつろぎ始めます。それに逆らってもがくのをやめます。たとえそれが不可能かもしれないとわかっていても、実際にそれを実現するために何ができるかを思い描き始めます。
-
もっと練習するようになります。さらにもっと。
いつもマインドフルでいるというこの意図に、向き合ってみませんか。この不可能な意図に、心を開いてみませんか。
では、この意図をできるかぎり持ち続ける方法についてお話ししましょう。
もっとマインドフルでいることが大切な理由
そもそも、なぜこんな不可能な意図にわざわざ取り組むのでしょうか。かなりしっかりした理由がなければなりません。簡単にはいかないからです。忘れること、がっかりすること、困難、もがき、そして何度も何度もやり直すことがあるでしょう。どれもすばらしいことです!
「かっこいいから」よりも深い理由を持ちましょう。たとえば、私が大切だと感じている理由には次のようなものがあります。
-
マインドフルでいると、より穏やかでいられる。もがくことが減る。自分に起きるどんな困難とも、よりしっかり向き合える。
-
いつも忙しくしていたい、気晴らしに逃げたい、食べ物や買い物、お酒、ドラッグ、テレビ、ゲーム、ポルノなどへの欲求に負けてしまいたい、という衝動にうまく対処できるようになる。
-
状況や、人のすること、自分自身のことに対する嫌悪感に、ある程度マインドフルに対処できるようになる。そうした嫌悪感から逃げたり、それに反発して攻撃的になったりしないでいられる。何かが不快だと思うからといって先延ばしにしないでいられる。実際、嫌悪感はたいしたことではないとわかるようになる。
-
ほかの人にも、自分にも、もっと思いやりを持てるようになる。誰かがひどいふるまいをしているとき、その人が痛みを抱えているのだとわかり、たとえその行動に賛成できなくても、その人がその痛みから解放され、幸せになってほしいと心から願う気持ちを育てられる。自分が望んだようにふるまえず、自分やほかの人を失望させたことに痛みを感じているときには、自分自身にも同じことができる。
-
今この瞬間をもっと味わい、もっと完全に今ここにいて、一日一日に感謝できるようになる。日々ははかなく、かけがえのないもので、手のひらからこぼれ落ちていき、当たり前のものではないとわかっているからです。
あなたにはあなたなりの理由があるかもしれません。子どもたちと過ごす時間や、死を迎えつつある親と過ごす時間を、心ゆくまで味わいたいのかもしれません。自分に残された日々が限られているとわかっていて、その日々を気を散らしたまま過ごすと思うと胸が張り裂けそうなのかもしれません。愛する誰かとの関係でひどく苦しんでいて、その人についての物語を手放し、もっと愛情を持って接したいのかもしれません。
あるいは、世の中で取り組むべき意義ある仕事があるのに、気晴らしや衝動にじゃまをさせてしまっていて、その意義ある仕事をもっと多くの時間、マインドフルに行う方法を見つけたいのかもしれません。
練習する価値があり、練習中に出会う小さな不快さよりも大切だと思える理由を見つけてください。
いつだってマインドフルでいることを思い出すには
何かをいつも覚えておくことは、私たちにとって自然にできることではありません。そうなりやすいように、環境を整える必要があります。
そこで、私がおすすめするのは次のことです。
-
意図を決めて、書き出す。「子どもたちのために、一日じゅうマインドフルでいる」くらいシンプルなものでかまいません。それを、しょっちゅう目に入る場所に貼っておきましょう。
-
自分の意図をほかの人に伝える。その意図を心に留めておいてほしいと頼みましょう。そして、あなたがそれを守れているかどうか、ときどき確認してもらいましょう。
-
毎朝、この意図を確認する。声に出して言ってもいいでしょう。
-
目に見えるリマインダーをあちこちに置く。キッチンカウンターに小さな仏像を置く。洗面所の鏡に思い出させるメモを貼る。どこへ行くにも手首に数珠をつける。スマートフォンのロック画面やパソコンの壁紙にリマインダーを設定する。
-
朝の習慣を持つ。朝、たった5〜10分座って、自分の体、呼吸、周囲に注意を向けるだけで十分です。もっとやりたければ、すばらしいことです。動く瞑想のほうが性に合うなら、ヨガでもかまいません。何らかの朝の習慣は、その日の残りの時間を支える錨になりますし、もっと多くのことが動いている場面でやることを、シンプルにした練習にもなります。
-
定期的に確認するタイミングを持つ。たとえば食事を始める前に、少し立ち止まって自分の意図を確認します。そうすると、食べているあいだもよりマインドフルでいられます。あるいは、シャワーを浴び始めるとき、車に乗り込むとき、オフィスに入るときや出るときに確認するのもいいでしょう。
-
少しずつ「マインドフルネスの鐘」を増やす。マインドフルネスの鐘は、身のまわりのどんなものでもかまいません。ティク・ナット・ハンは、信号をマインドフルネスの鐘として使うことを勧めています。信号を見たら、運転のストレスに巻き込まれるのではなく、今ここに意識を戻すのです。ほかのマインドフルネスの鐘も少しずつ見つけていけます。娘の顔、パソコンを開くこと、その日最初のコーヒーを飲むこと、電車が通り過ぎる音を聞くこと。
-
一日の終わりに振り返る。一日を締めくくるときに、2分間の振り返りをしましょう。一日を振り返って、どのように意図を保てたかを確認します。何につまずいたかを見ます。うまくいったことを祝います。明日もっと意図を守れるように、リマインダーや鐘、定期的な確認のタイミング、報告し合う仕組みをどう増やせるかを考えます。
これらのアイデアをすべて取り入れる必要はありません。いろいろ試してみて、何がいちばん役に立つかを確かめてみてください。
何が起きても、それと向き合う方法
マインドフルネスを練習していると、さまざまなものが湧き上がってくることに気づくでしょう。たとえば次のようなものです。
-
ほかの人や自分へのいら立ちや怒り。
-
ストレス、不安、恐れ。
-
失望、悲しみ、傷つき、防御的な態度、引きこもり、心を閉ざすこと。
-
混乱、優柔不断、不確かさ、カオス、動揺。
-
自己批判や、自分への厳しさ。
-
先延ばし、回避、気晴らし。
-
衝動や欲望に身をまかせ、あとでそのことを悔やむ。
こうした、あるいはほかのさまざまなもがきが、マインドフルでいようという意図をめぐって、あるいはその意図とは関係なく湧き上がってきます。そして、そう感じていることにいら立ったり、がっかりしたり、傷ついたり、自分に厳しくなったりするでしょう。
こうした感情や困難が湧き上がること自体は、問題ではありません。
大切なのは、それらと向き合うことです。
方法はこうです。
-
つらい感情(上に挙げたどれか)があることに気づく。ただ、それが起きていることにマインドフルでいます。
-
その困難を引き起こしている考え(物語、期待、正当化、空想、理想)があるかどうかに気づく。たとえば、「この人はこんなふうにふるまうべきではない」というその人についての物語があるから、いら立っている、というように。その物語が本当かどうかは重要ではないことに注意してください(私の経験では、完全に本当だったことは一度もありませんが、真偽は関係ありません)。ただ、自分がその考えを抱いていて、それが困難を引き起こしているということに気づけばいいのです。
-
自分の体に意識を落とし込み、そのつらい感情にともなう感覚に気づく。ストレスは胸の締めつけとして、恥はお腹の中の赤いボールとして、孤独は胴体の中心にある空洞のボールとして、傷つきは心の痛みとして感じられるかもしれません。
-
その感覚にとどまり、好奇心を向けられるか試してみる。感覚は変化しますか。虫眼鏡で観察するように見てみましょう。細やかに気づけるようになっていきましょう。
-
その感覚に、親しみや愛、思いやりを向ける。これには練習が必要です。自分の感情に対して、無条件の親しみと思いやりの心を育てられるか試してみてください。
-
その感情があっても、自分はまったく大丈夫だと気づく。それは問題ではありません。ただの感覚です。
こうした練習を始めると、どんな感情があっても、怒りや不安でさえも、自分は大丈夫だと信頼できるようになります。それは問題ではなく、ただ練習の材料です。自分の経験の一部にすぎないのです。
そうなれば、あらゆる感情が練習の機会になり、その感情を引き起こしたどんな人やものにも、ありがとうと言えるようになります。
学び、成長し続けるには
上に挙げたおすすめに沿ってこのようにマインドフルネスを練習すれば、思い出すこと、意識を落とし込むこと、何が起きてもそれとともにいることのスキルが、どんどん上達していきます。
それでも、自分はもっとうまくできるはずだと思う部分が、あなたの中に残るでしょう。その痛みについても、前のセクションで説明した方法で練習してください。それは小さな痛みにすぎません。あなたなら扱えます。
そのうえで、穏やかな場所から、学びを深めていくことができます。さらに深く意識を落とし込み、あらゆる感情をひとつ残らず完全に感じられるか試してみましょう。
マインドフルでいることに抵抗している領域に気づき、その抵抗に心を開けるか試してみましょう。
マインドフルでいることをいちばん忘れがちな領域に気づきましょう。たいていは、簡単に引っかかってしまう領域です。その引っかかりについて、少しずつ練習できるか試してみましょう。そうした領域で助けを得られるかどうかも考えてみましょう。
いちばん困難を感じているところに気づき、その困難を引き起こしている考えをゆるめ始められるか試してみましょう。たとえば、誰かがすべきでないふるまいをしていることに本当に腹を立てているなら、相手がどうふるまうべきかについてのその揺るぎない考えに、好奇心を向けてみてください。相手が本当にそうふるまうべきなのでしょうか。どうしてそうだとわかるのでしょうか。私は自分がどうふるまうべきかさえわかりません。ましてやほかの人がどうふるまうべきかなど、わかるはずがありません。その考えを手放せたら、あなたはどうなるでしょうか。この問いかけについてさらに知りたければ、バイロン・ケイティの取り組みを参照してください。
何度も何度も、自分の限界の縁がどこにあるかを見てください。私たちには誰にでも縁があります。自分にとって難しいところです。それは人によって異なります。その縁を見つけ、毎日そこに踏み込んでいきましょう。縁にある不快さの手ごわさを、存分に味わいながら。
ほかの翻訳記事
Zen Habits翻訳:幸せになるための習慣
レオ・バボータのZen Habitsの記事「The Habits of Happiness」の全訳です。幸せは日々の行動から生まれるという考えのもと、感謝のリストをきっかけに気持ちが変わった体験を紹介し、「よかったことを3つ挙げる」「誰かを助ける」「瞑想する」「運動する」という、毎日続けることで幸福感を高める基本の習慣とその身につけ方を解説します。
Zen Habits翻訳:生活が崩れたときに習慣を続けるには
レオ・バボータのZen Habitsの記事「How to Stick to a Habit When Life Falls Apart」の全訳です。仕事の繁忙や人間関係、家族の問題、病気などで習慣が崩れたときにあきらめないための方法として、呼吸する、自分を休ませる、でこぼこは付き物だと知る、乱れを受け入れる、仲間を見つける、笑顔でいることを紹介します。
Zen Habits翻訳:落ち着きから仕事をする
レオ・バボータのZen Habitsの記事「Working from Calm」の全訳です。生産性とは切迫感や焦りだという文化的な思い込みに対し、最高の仕事は深い落ち着きから生まれるのではないかと問いかけ、落ち着いて働く姿の具体例と、始まりの間、心を整える儀式、一日の振り返りなど、それを育てる実践方法を紹介します。
Zen Habits翻訳:落ち着いた心をつくる7つの習慣
レオ・バボータのZen Habitsの記事「The 7 Habits of Calmness」の全訳です。ストレスや不安が当たり前になった現代で、環境ではなく自分の反応を変えることで落ち着きを保つための7つの習慣として、静かな朝の儀式、反応を観察する、個人攻撃と受け取らない、感謝する、健全なストレス対処、シングルタスク、雑音を減らすことを紹介します。
