スティーブ・パヴリナ翻訳:受動的な価値
この記事は、自己啓発ブロガーのスティーブ・パヴリナ(Steve Pavlina)が2012年6月に自身のブログで公開した記事「Passive Value」を、新規事業ポータルが独自に日本語へ訳したものです。この記事は著者によってパブリックドメインとして公開されています(著者による宣言)。原文はこちら。公開当時の状況を前提にした内容も含まれています。訳文では、原文の趣旨を変えないことを優先しました。原文に掲載されている写真(ラスベガスのホテルの男性用トイレの壁)は省略しました。
私が撮ったこの写真を紹介したいと思います。受動的な価値を提供することの、いい例を表しているからです。
このアイデアを思いつき、この壁の装飾を加えるには、一度だけ時間とエネルギーを投資する必要がありました。でも、一度披露されれば、訪れる人たちに笑いや楽しい会話という形で、毎年価値を提供し続けることができます。
これを収益化できるでしょうか。間接的になら、もちろんできます。これが話題になって、もっと多くの男性が口にするようになるかもしれません……あるいは、中にあるばかばかしいサプライズのために、友だちにこのトイレを使うよう勧めるかもしれません。このトイレの外にはレストランがいくつもありますし、廊下を少し行けば大きなカジノがあって、お金を使う機会はたっぷりあります。
気になる方のために言うと、このトイレはラスベガス・ホテル(旧ラスベガス・ヒルトン)の中、コンファレンスセンターの隣にあります。コンベンションの参加者が使う主なトイレのひとつでしょう。
受動的収入の流れを作ろうとする人がよくやる間違いは、収益化するものが何もないうちから収益化に焦点を当ててしまうことです。これは干上がった川底で釣りをするようなものです。エネルギーの無駄です。そして、人はこれをしょっちゅうやっているのです!
あえて言えば、私が耳にする受動的収入の失敗談のほとんどは、存在しない価値の流れを収益化しようとした人たちの話です。お金にまっすぐ向かおうとするので、予想どおり結果は弱々しいものになります。ビジネス版の物乞いをしているようなもので、だから物乞いと同じくらいしか稼げないのが普通なのです。
魚が泳いでいる水を見つけるまで魚を釣れないのと同じように、受動的な価値の流れができるまで、受動的収入の流れを生み出すことはできません。
まず価値の流れを作ることに集中してください。そして、健全な流れができているとわかったら、それを収益化することに取り組めばいいのです。
何よりもまず収益化に焦点を当てるのは、こう言っているのと同じです。「くそっ、魚はいったいどこにいるんだ? このサボテンの陰に隠れているのかもしれないな……それとも、あの岩の下か。このあたりのどこかに魚がいるはずだ。まったく、この釣り竿には大金を払ったんだぞ。さあ魚よ、よく聞け! 汝らに命ずる……隠れ場所から出てきて、我が釣り針に自ら刺さるがよい!」
ばかげて聞こえますが、受動的な価値のことなどまったく気にかけずに受動的収入に意気込むとき、人がやっているのはまさにこういうことなのです。
受動的な価値を生み出す考え方を身につけ、それが第二の天性のように感じられるようになれば、もっと早い段階で収益化について考えてもかまいません。収益化の機会をどこで探せばいいかがわかるようになるからです。でも、それが習慣になるまでは、収益化について少しでも考える前に、まず受動的な価値の流れを作ることを意識的に考えるようおすすめします。まずは水を見つけるのがうまくなりましょう。釣りの腕を磨くのはそれからです。
さて、あなたへの課題は、他の人に何らかの受動的な価値を提供できる、シンプルなことを何かやってみることです。写真1枚でもそれができることを思い出してください。1年後も人々があなたの提供した価値を受け取り続けているかもしれないような形で、このささやかな価値をどこで分かち合えるでしょうか。収益化のことは気にしないでください。とにかく無料で何かを世に出しましょう。実行するのです。
本当に価値を提供しているかどうかは、どうすればわかるでしょうか。フィードバックです。あなたの試みは推測にすぎません。あなたが価値を提供したかどうかを最終的に判断するのは、他の人たちなのです。
先ほどの男性用トイレを見たとき、私は笑い、にっこりしました。写真を撮りました。それを共有しました。私にとって、これは何らかの価値をもたらしてくれました。ほかの多くの人たちにも同じことをもたらすなら、これを作った人は、受動的な価値の流れを見事に作ったということです。
人を笑わせると思って何かをしても、誰も笑わなかったら、価値は提供できなかったということです。流れは作れなかったのです。それでかまいません。そういうこともあります。価値を提供しようとする試みでは、的を外すこともよくあります。
価値の創造にはスキルの要素があります。人々が何を価値として受け取り、ありがたく思うのかを見極めるには時間がかかりますし、狙いを調整するのにも時間がかかります。私も、ほとんど誰も関心を持たなかった記事をたくさん書いてきたはずです。でもそのおかげで、人々が何を望んでいるのか、そしてそれが私に提供できるものとどう合致するのかを、よりよく理解できるようになりました。
他の人たちに受動的な価値を生み出して提供する方法を探すこの習慣を身につければ身につけるほど、受動的収入の流れを楽しむのが簡単になっていくでしょう。
女性用トイレはどうなっているんだろう……
ほかの翻訳記事
スティーブ・パヴリナ翻訳:作り手として評価されること
スティーブ・パヴリナの記事「Being Appreciated as a Creator」の全訳です。作品を喜んで受け取ってくれる人のために創ることの大切さを説き、誰もいない空間に向けて作るのではなく、たとえ1人でも実在の読み手を決めてから創作を始めるべき理由を、自身のブログやゲーム事業の経験から語ります。
スティーブ・パヴリナ翻訳:ブランディングは恐れから生まれたたわごとだ
スティーブ・パヴリナの記事「Branding is Fear-Based B.S.」の全訳です。企業・製品・個人のブランディングはいずれも人をコントロールしようとする恐れに根ざしたもので不要だと著者は主張します。ブランドという仮面の代わりに、生身の人間として正直に語り、共創的な関係を築く勇気を持つよう呼びかけます。
スティーブ・パヴリナ翻訳:ビジネスと意味
スティーブ・パヴリナの記事「Business and Meaning」の全訳。ビジネスの忙しさや成長志向に飲み込まれず、「なぜこの仕事をするのか」を問い続ける大切さを説きます。死を意識して優先順位を見直す視点や、プロジェクトの設計書に「個人的な意味」の欄を設ける実践法を紹介しています。
スティーブ・パヴリナ翻訳:物語のアイデアを書き留める
スティーブ・パヴリナの記事「Capturing Story Ideas」の全訳です。初めての小説執筆に取りかかった著者が、プロジェクトへのコミットで次々に湧いてくるアイデアをScrivenerのカードに書き留める理由や、近未来SFという構想、ステップアウトラインの計画、物語構造モデルの研究など、アイデア爆発の段階での取り組みを語ります。
