JPMORGAN CHASE & CO
個人向け銀行・カード、投資銀行・決済、資産運用を併せ持つ米国最大の銀行グループ。AIとテクノロジーへの投資を増やしている
2025年12月期
- 売上高
- 1,824億ドル 前期比 +2.8%
- 純利益
- 570億ドル
- ROE
- 16.1%
- 自己資本比率
- 8.2%
消費者向け銀行(CCB)、法人・投資銀行(CIB)、資産・ウェルス運用(AWM)の3事業で稼ぐ。2025年12月期の純収益は1,824億ドル(前期比3%増)、純利益は570億ドル(同2%減)、ROTCEは20%。2026年はApple Cardの発行体となる準備を進め、テクノロジー費用を約198億ドルに増やす計画。
事業の概要
報告セグメントは3つで、残りの活動をCorporateとして区分する。2025年12月期の実績(managed basis。税額控除のある投資や非課税証券の収益を課税ベースに換算した非GAAPの指標)は次のとおり。
- Consumer & Community Banking(CCB):純収益760億ドル、純利益182億ドル。預金、住宅ローン、クレジットカード、自動車ローン、個人向け資産運用
- Commercial & Investment Bank(CIB):純収益785億ドル、純利益278億ドル。投資銀行、法人融資、決済(Payments)、トレーディング(Markets)、証券サービス
- Asset & Wealth Management(AWM):純収益241億ドル、純利益65億ドル。運用資産は4.8兆ドル
- Corporate:純収益70億ドル。資金運用(Treasury and CIO)など
managed basisの純収益合計は1,856億ドルで、CIBとCCBがそれぞれ約4割を占める。従業員は2025年末で31万8,512人。
業績の分析
本文の「純収益」は、断りのない限り米国会計基準の報告値(reported basis、Total net revenue)を使う。2025年12月期の業績は次のとおり。
- 純収益:1,824億ドル(前期比3%増)。純金利収益954億ドル、非金利収益870億ドル
- 非金利費用:956億ドル(同4%増)
- 貸倒引当金繰入:142億ドル(前期107億ドル)
- 純利益:570億ドル(同2%減)。ROTCE 20%
10-Kでの会社の説明では、Markets収益(19%増)、資産運用報酬、投資銀行手数料が伸びた一方、2024年に計上したVisa株関連の利益79億ドルがなくなった。費用は人件費、テクノロジーとマーケティングへの投資で増えた。引当金の増加には、Apple Cardの債権を将来買い取る契約に伴う22億ドルが含まれる。
直近5期の推移(SEC XBRL、Form 10-Kの値。純収益はreported basis)は次のとおり。
| 決算期 | 純収益 | 純利益 | 営業CF |
|---|---|---|---|
| 2021年12月期 | 1,216億ドル | 483億ドル | 781億ドル |
| 2022年12月期 | 1,287億ドル | 377億ドル | 1,071億ドル |
| 2023年12月期 | 1,581億ドル | 496億ドル | 130億ドル |
| 2024年12月期 | 1,776億ドル | 585億ドル | -420億ドル |
| 2025年12月期 | 1,824億ドル | 570億ドル | -1,478億ドル |
2025年の営業CFのマイナスは、10-Kによるとトレーディング資産の増加(1,565億ドル)、借入有価証券の増加、売却目的ローンの純増などによる。顧客取引やリスク管理で大きく変動する銀行特有の項目で、本業の赤字を示すものではない。
2026年第2四半期は純利益212億ドル(前年同期比41%増)。Visa株関連の利益46億ドルなどを除くと169億ドルで、ROTCEは29%(除外後23%)。Standardized方式のCET1比率は14.1%。
経営計画・成長戦略
2026年2月のCompany Updateで、景気循環を通じたROTCEの目標を17%とした。2025年末のCET1比率はStandardized方式14.6%、Advanced方式14.1%。2026年通期の見通し(同Company Update時点)は、純金利収益約1,045億ドル、調整後費用約1,050億ドル。
テクノロジー費用は2026年に約198億ドル(前年比10%増)を見込み、うち新製品・基盤・AIなどへの投資が92億ドル。AIを使った解決策の本番稼働数は2025年に倍増したと説明する。
新規事業・新しい取り組み
- Apple Card:2026年1月、Apple Cardの新しい発行体になると発表。債権の買い取りは約24か月後の完了を見込む
- Security and Resiliency Initiative:2025年10月に発表した10年で1.5兆ドルの融資・投資の枠組み。防衛、エネルギー、AIや量子計算などの重要産業に最大100億ドルを直接投資する。投資部門の責任者にBerkshire出身のTodd Combsを迎えた
- 経営体制:2026年6月、Doug PetnoとTroy Rohrbaughを共同社長に選んだ。Jamie Dimonは会長兼CEOを続ける
新規事業の担当者の視点では、国の経済安全保障というテーマで融資と出資を束ね、長期の枠組みとして打ち出した点が参考になる。
分析:強みと課題
強み
- 事業の分散:個人、法人・市場、資産運用がそれぞれ大きく、金利や市場環境の変化を相互に補える
- 資本と収益力:ROTCE 20%を保ちながらCET1比率14%台を維持し、Apple Cardのような大型案件にも資本を振り向けられる
- 投資余力:年200億ドル近いテクノロジー費用を投じ、AIの効果を収益と効率化の両面で測っている
課題・リスク
- 市場環境への依存:2026年上期の好業績は市場活動の活発さに支えられており、会社自身も高い資産価格や地政学リスクを挙げる
- 信用コスト:カードの貸倒率は3%台で、Apple Card買い取りに伴う引当も必要になる
- 経営の継承:共同社長の選任や引き留めのための株式報酬など、Dimon後を見据えた体制づくりが続いている
出典
- Form 10-K for the fiscal year ended December 31, 2025(JPMorgan Chase & Co.、2026年2月13日)
- Earnings Release Fourth Quarter 2025 Results, Form 8-K Exhibit 99.1(JPMorgan Chase & Co.、2026年1月13日)
- Earnings Release Second Quarter 2026 Results, Form 8-K Exhibit 99.1(JPMorgan Chase & Co.、2026年7月14日)
- 2026 Company Update: Firm Overview, Form 8-K(JPMorgan Chase & Co.、2026年2月23日)
- Form 8-K Item 5.02(JPMorgan Chase & Co.、2026年6月25日)
- JPMorganChase launches $1.5 trillion Security and Resiliency Initiative(JPMorgan Chase & Co.、2025年10月13日)
- SEC EDGAR XBRL財務データ(JPMorgan Chase & Co.、CIK 0000019617)
分析の更新履歴(1件)
- 最新の版 2026年9月27日時点の情報
業績の推移
数字から読み取れること
- 売上高は2021年12月期の1,216億ドルから2025年12月期の1,824億ドルへ増加(4期間の年平均成長率 10.7%)。
- 直近期(2025年12月期)の売上高は前期比 +2.8%。
- 直近期のROEは 16.1%(純利益÷期首期末平均の自己資本で計算)。
- 直近期末の自己資本比率は 8.2%。
- 直近期の営業キャッシュフロー(−1,478億ドル)は純利益の -2.6倍。
下の表の数値から自動で計算しています。
| 決算期 | 2021年12月期 | 2022年12月期 | 2023年12月期 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 1,216億ドル | 1,287億ドル | 1,581億ドル | 1,776億ドル | 1,824億ドル |
| 前期比 | — | +5.8% | +22.9% | +12.3% | +2.8% |
| 純利益 | 483億ドル | 377億ドル | 496億ドル | 585億ドル | 570億ドル |
| 総資産 | 37,436億ドル | 36,657億ドル | 38,754億ドル | 40,028億ドル | 44,249億ドル |
| 自己資本 | 2,941億ドル | 2,923億ドル | 3,279億ドル | 3,448億ドル | 3,624億ドル |
| 自己資本比率 | 7.9% | 8.0% | 8.5% | 8.6% | 8.2% |
| ROE | 16.4% | 12.9% | 16.0% | 17.4% | 16.1% |
| 現金及び現金同等物 | 7,408億ドル | 5,672億ドル | 6,242億ドル | 4,693億ドル | 3,433億ドル |
| 営業キャッシュフロー | 781億ドル | 1,071億ドル | 130億ドル | −420億ドル | −1,478億ドル |
| 書類の提出日 | — | — | — | — | 2026/02/13 |
| 出典 | US GAAP | US GAAP | US GAAP | US GAAP | US GAAP |
新しい決算の書類が提出されるたびに期を追加し、過去の期も残しています。 SECに提出されたXBRLの年次の値です(金額は米ドル)。ROEは純利益を期首・期末の株主資本の平均で割って計算しています。会社の定義する売上高と異なる場合があります。
銀行の会社
米国の銀行は343社。 JPMORGAN CHASE & COの直近の売上高は1位。 業種の会社をすべて見る
| 順位 | 会社名 | 売上高 | 営業利益率 | 純利益 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | JPMORGAN CHASE & CO | 1,824億ドル | — | 570億ドル |
| 2 | BANK OF AMERICA CORP /DE/ | 1,131億ドル | — | 305億ドル |
| 3 | CITIGROUP INC | 852億ドル | — | 143億ドル |
| 4 | CAPITAL ONE FINANCIAL CORP | 534億ドル | — | 24.5億ドル |
| 5 | US BANCORP \DE\ | 287億ドル | — | 75.7億ドル |
| 6 | HDFC BANK LTD | 248億ドル | — | 75.1億ドル |
| 7 | PNC FINANCIAL SERVICES GROUP, INC. | 231億ドル | — | 65.8億ドル |
| 8 | Bank of New York Mellon Corp | 201億ドル | — | 55.5億ドル |
| 9 | STATE STREET CORP | 139億ドル | — | 29.5億ドル |
| 10 | FIRST CITIZENS BANCSHARES INC /DE/ | 95.4億ドル | — | 22.1億ドル |
直近期の売上高で並べています。決算期が会社ごとに異なるため、同じ時期の比較ではありません。
掲載内容は開示資料をもとにした情報提供であり、特定の有価証券の売買を勧めるものではありません。数値の正確性には注意していますが、投資などの判断は必ず各社の開示資料をご確認のうえ、ご自身で行ってください。
